淡々として平易に、しかも真摯に語りかけてくる文章に、まず好感を持ちました。あとがきを読むと、編集者に口述筆記したものを手直ししたのだそうです。
今の時代は情報社会と言われながら、実は自分にとって都合のよいものばかり選択し、気に入らないもの、耳に痛いものは無視しがちではないでしょうか。そうして自己を確立することもなく時代の空気に流されて、ふっと心の空虚さが浮かび上がってきたとき。そんな時に「悪魔」はささやくのかもしれません。そんな「悪魔のささやき」を避けるための著者の提言にはたいへん頷けるものがありました。視界を360度に広げ、できるだけ遠くまで見はるかすこと。世界の代表的な宗教について知ること、特に経典に目を通すこと。死について知ること、考えること。自分の頭で考える習慣をつけること。確固とした人生への態度を持つこと。そして著者はその手段として手軽に始められる読書を勧めています。著者のいう「個人内情報操作」に注意しつつ、いろんな本を読んで自分の視野を広げていきたいと思います。
自戒の意味も込めつつ、ときどき読み返したい本です。