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悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)
 
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悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫) [文庫]

木村 元彦
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

「世界の悪者」にされ、NATOの空爆にさらされたユーゴ。ストイコビッチに魅せられた著者が、旧ユーゴ全土を丹念に歩き、その素顔を抉る。新たに100枚を書き下ろした力作。(解説・田中一生)

内容(「BOOK」データベースより)

「世界の悪者」にされNATOの空爆にさらされたユーゴ。ストイコビッチに魅せられた著者が旧ユーゴ全土を歩き、砲撃に身を翻し、劣化ウラン弾の放射能を浴びながらサッカー人脈を駆使して複雑極まるこの地域に住む人々の今を、捉え、感じ、聞き出す。特定の民族側に肩入れすることなく、見たものだけを書き綴る。新たに書き下ろした追章に加え、貴重な写真の数々。「絶対的な悪者は生まれない。絶対的な悪者は作られるのだ」。

登録情報

  • 文庫: 448ページ
  • 出版社: 集英社 (2001/6/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087473368
  • ISBN-13: 978-4087473360
  • 発売日: 2001/6/20
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
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75 人中、74人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 騙されているのは我々自身だ, 2006/4/20
By 
レビュー対象商品: 悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫) (文庫)
読み始めたきっかけはなんのことはない軽いものだった。

暇つぶしになる軽い本を書店で探していたときに、

ピクシー(ストイコビッチのこと)が大写しになった表紙と、

挑発的なタイトルに惹かれて手にとった。

名古屋出身の私は、いまだに名古屋グランパスとピクシーのファンだが、

暇つぶし以上のものは期待していなかった。

この種のスポーツものは、軽く読めて暇つぶしには持って来いのはずだ。

それにしても、ここまで読む前の期待を大きく外した上に、

とてつもなく大きな置き土産を残した本も他にない。

これは単なるスポーツものに留まらないすさまじい本なのだ。

作者は誰もが行きたがらない内戦下の旧ユーゴスラビアに足を踏み入れ、

そこで見て体験したものを生々しくレポートしてくれる。

それは、旧ユーゴに関する報道をなんとなく見聞きしてきた我々が持つ

「ミロシェビッチ率いるセルビア=悪者」と言う常識とは

大きくかけ離れたものなのだ。

本に書かれたほとんどの情報が「伝え聞いたこと」ではなく、

「自身が見て体験したこと」であることは、情報として実に貴重だ。

独裁主義国家における言論統制を伝え聞き、

それを我々は自身のこととは考えないだろう。

しかし、この本は暴いてくれる。

米国の国益のために巧妙に制御されたプロパガンダに

騙されているのは我々自身なのだ。

この本は単なる「事実の暴露」だけに留まらない。

私は通勤電車でこの本を読みながら、

恥ずかしげもなく何度も涙を流した。

作者は、ピクシーに代表されるユーゴスラビアサッカーの美しさに惹かれ、

その魅力をひたむきに伝えようとしてくれる。

そしてそれはなぜか、無性に悲しい。
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35 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 『誇り』『悪者見参』『オシムの言葉』の三部作はまりにも貴重, 2005/12/24
By 
ib_pata - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ1000レビュアー)   
 旧ユーゴのサッカーをずっと見てきた人は、90年代以降の政治社会の動きを本当に深く考えることができたと思う。そして国連など国際社会による制裁が続いていた時期、日本は旧ユーゴスラヴィアのサッカーにとって、飛び地になっていたというか、遠いサンクチュアリになっていたというか、ヨーロッパで行き場を失った選手や監督たちの生活の場にもなったんじゃないだろうか。それは日本サッカーにとって将来、かけがえのない財産になると思う。

 この本はユーゴがあまりにも悪者扱いされていることにプロテストしている本だ。例えばクロアチア独立のきっかけとなったともいわれるディナモ・ザクレブvsレッドスターのマクシミル・スタジアムでの出来事。日本でも流されたVTRでは、ボバンがピッチに降り立ったクロアチアのサポーターを追いかけ回すセルビア人警官に対し、彼らを守るために跳び蹴りをくらわせた、という物語になっているが、実は違う。この試合の3日前に行われた選挙で独立派のツジマン大統領の率いるHDZが大勝、そのままのいきおいでセルビア人の象徴ともいえるレッドスターをホームに迎え撃つクロアチア側が、相手サポーターに対して投石などで攻撃し、たまらずレッドスターのサポたちがピッチに逃げたところを、追いかけ回し、警察はそれを止めに入ったのだ、と。当時ベオグラードにいた、大羽圭介・クロアチア大使は「セルビアの外交下手を象徴するような事件」としているが、まさにそんな見方もできるのだろう(p.25)。大羽さんは別のところで「マクシミル暴動を独立の1里塚と賛美する限り、クロアチアの民主化は遠い」とまで書いてるが、日本外交官の言葉としては思い切ったものだと思う。
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30 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 旧ユーゴの最も生きた現実を書いた稀有の書, 2004/1/13
レビュー対象商品: 悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫) (文庫)
この本は不思議な本です。とっても不思議な本です。

 サッカー選手のルポルタージュなんですが、それをはるかに超えてしまってい
ます。
 スポーツルポのはずが、第一級の旧ユーゴ紛争の現地ルポルタージュとなって
いるという意味において、私にはとっても不思議な本です。

 ボスニア紛争、コソボ紛争、旧ユーゴでの相次ぐ紛争。

その紛争を巡る書物を5、6冊読みました。
 しかし、それらの紛争を真っ向から扱ったはずの本よりも、
この本の方がはるかに現地の生きた現実をより多く含んでいます。
そういう意味において、この本は第一級の旧ユーゴ紛争のルポです。

 筆者は、セルビアだけが一方的に悪者扱いされることに憤激しています。

しかし、セルビア側に同情的だけではありません。
コソボでのセルビア民兵によるとされる虐殺現場にもいち早く駆けつけ、
虐殺死体を自分の目で実際に検分しています。
 少なくとも、服を着替えさせた形跡はない、子供の死体もあった、と。

 筆者は、「絶対的な悪者は生まれない。絶対的な悪者は作られるのだ」と
主張する。

 世界中から一方的な悪者にされたセルビアのことだ。

 筆者は、対立勢力の双方の意見に十分に耳を傾けている。
 筆者と語る、セルビア人、クロアチア人、コソボのアルバニア系住民、モンテ
ネグロ人、皆が皆、皆本当にいい奴ばかりなのだ。
なのに何故、、、、こんなことになってしまったのか、、、、

 確かに、セルビアは民族浄化、レイプ、悪逆非道なことをした、それは筆者も
認めている。
 しかし、対立勢力(クロアチア、ムスリム、コソボのアルバニア系)も同様の
ことをしたのだ。
 
 1999年3月27日、神戸ユニバーシアード記念競技場。
 ストイコビッチのアシストで名古屋グランパスが得点。

ストイコビッチはユニフォームをたくし上げて咆哮した。
Tシャツには、「NATO STOP STRIKES」が浮かんでいた。
日頃、「スポーツと政治は別だから」と語っていた彼が、、、

 ストイコビッチたち、セルビアのJリーガー達は、国際情勢を非常にしっかり
認識している。セルビアの大本営発表だけを信じているわけでは決してない。

西側先進国の情報もちゃんと入手している。インターネットの情報、現地への
電話連絡等々、しかも、彼等はミロシェビッチを支持していない。
彼らの情熱には感心した。
 しかも、私は知らなかったのだが、ユーゴ空爆直前、セルビア側は譲歩しよう
としていた。空爆回避のために合意文書に調印する予定だった。そこで、アメリ

カは、アネックスBという付属文書を提出し、交渉を決裂させた。
 その内容は、「コソボのみならず、ユーゴ全域でNATO軍が展開・訓練がで
き、なおかつ治外法権を認めよ」というものだった。
 NATO軍への課税や犯罪訴追をも免除しろというこの条項は、ユーゴの占領
地化を意味するもので、こんな条件を飲めるはずがない。

 そういうことまで、彼等はちゃんと把握していたとは驚きでした。
 私はそんな情報は知りませんでしたし、私の読んだ5、6冊の本にも書かれて
いませんでした。
 NATOの空爆は、コソボのアルバニア系住民を保護するためだという。
しかし、難民を受け入れているモンテネグロまで空爆した。

コソボのアルバニア系住民に被害が出たのは空爆開始後のことだ。
コソボのアルバニア系住民地区に、劣化ウラン弾を大量に打ち込んだ。
その後、劣化ウラン弾を除去することは一切やっていない。
コソボのアルバニア系住民の生命を守る為ではなかったのか?
 現在、コソボでは、ベトナム戦争時のダナン基地に匹敵する巨大な軍事基地が
建設されている。

 「アメリカが何が何でも空爆したかったのは、世界制覇の戦略構築のためだっ
たのではないか」と。

 筆者は地雷がたくさん埋まるコソボで、実際に劣化ウラン弾を見つけ出し、
自然界の100倍の放射能を測定した。
 パンチェボのバルカン最大規模の化学コンビナートが空爆された。同行した

慶応大学の藤田教授は、「世界最大規模の環境破壊だ」と指摘した。
 筆者は、コソボのUCK(コソボ解放戦線)支配地区にも車で乗り込んだ。
現地司令官とインタビューまでしている。
 その行動力、バイタリティーには圧倒される。

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