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75 人中、74人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
騙されているのは我々自身だ,
By 山田晃嗣 (神奈川県横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫) (文庫)
読み始めたきっかけはなんのことはない軽いものだった。暇つぶしになる軽い本を書店で探していたときに、 ピクシー(ストイコビッチのこと)が大写しになった表紙と、 挑発的なタイトルに惹かれて手にとった。 名古屋出身の私は、いまだに名古屋グランパスとピクシーのファンだが、 暇つぶし以上のものは期待していなかった。 この種のスポーツものは、軽く読めて暇つぶしには持って来いのはずだ。 それにしても、ここまで読む前の期待を大きく外した上に、 とてつもなく大きな置き土産を残した本も他にない。 これは単なるスポーツものに留まらないすさまじい本なのだ。 作者は誰もが行きたがらない内戦下の旧ユーゴスラビアに足を踏み入れ、 そこで見て体験したものを生々しくレポートしてくれる。 それは、旧ユーゴに関する報道をなんとなく見聞きしてきた我々が持つ 「ミロシェビッチ率いるセルビア=悪者」と言う常識とは 大きくかけ離れたものなのだ。 本に書かれたほとんどの情報が「伝え聞いたこと」ではなく、 「自身が見て体験したこと」であることは、情報として実に貴重だ。 独裁主義国家における言論統制を伝え聞き、 それを我々は自身のこととは考えないだろう。 しかし、この本は暴いてくれる。 米国の国益のために巧妙に制御されたプロパガンダに 騙されているのは我々自身なのだ。 この本は単なる「事実の暴露」だけに留まらない。 私は通勤電車でこの本を読みながら、 恥ずかしげもなく何度も涙を流した。 作者は、ピクシーに代表されるユーゴスラビアサッカーの美しさに惹かれ、 その魅力をひたむきに伝えようとしてくれる。 そしてそれはなぜか、無性に悲しい。
35 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
『誇り』『悪者見参』『オシムの言葉』の三部作はまりにも貴重,
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レビュー対象商品: 悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (単行本)
旧ユーゴのサッカーをずっと見てきた人は、90年代以降の政治社会の動きを本当に深く考えることができたと思う。そして国連など国際社会による制裁が続いていた時期、日本は旧ユーゴスラヴィアのサッカーにとって、飛び地になっていたというか、遠いサンクチュアリになっていたというか、ヨーロッパで行き場を失った選手や監督たちの生活の場にもなったんじゃないだろうか。それは日本サッカーにとって将来、かけがえのない財産になると思う。この本はユーゴがあまりにも悪者扱いされていることにプロテストしている本だ。例えばクロアチア独立のきっかけとなったともいわれるディナモ・ザクレブvsレッドスターのマクシミル・スタジアムでの出来事。日本でも流されたVTRでは、ボバンがピッチに降り立ったクロアチアのサポーターを追いかけ回すセルビア人警官に対し、彼らを守るために跳び蹴りをくらわせた、という物語になっているが、実は違う。この試合の3日前に行われた選挙で独立派のツジマン大統領の率いるHDZが大勝、そのままのいきおいでセルビア人の象徴ともいえるレッドスターをホームに迎え撃つクロアチア側が、相手サポーターに対して投石などで攻撃し、たまらずレッドスターのサポたちがピッチに逃げたところを、追いかけ回し、警察はそれを止めに入ったのだ、と。当時ベオグラードにいた、大羽圭介・クロアチア大使は「セルビアの外交下手を象徴するような事件」としているが、まさにそんな見方もできるのだろう(p.25)。大羽さんは別のところで「マクシミル暴動を独立の1里塚と賛美する限り、クロアチアの民主化は遠い」とまで書いてるが、日本外交官の言葉としては思い切ったものだと思う。
30 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
旧ユーゴの最も生きた現実を書いた稀有の書,
By 妹之山商店街 (神戸市垂水区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫) (文庫)
この本は不思議な本です。とっても不思議な本です。 サッカー選手のルポルタージュなんですが、それをはるかに超えてしまってい ボスニア紛争、コソボ紛争、旧ユーゴでの相次ぐ紛争。 その紛争を巡る書物を5、6冊読みました。 筆者は、セルビアだけが一方的に悪者扱いされることに憤激しています。 しかし、セルビア側に同情的だけではありません。 筆者は、「絶対的な悪者は生まれない。絶対的な悪者は作られるのだ」と 世界中から一方的な悪者にされたセルビアのことだ。 筆者は、対立勢力の双方の意見に十分に耳を傾けている。 確かに、セルビアは民族浄化、レイプ、悪逆非道なことをした、それは筆者も ストイコビッチはユニフォームをたくし上げて咆哮した。 ストイコビッチたち、セルビアのJリーガー達は、国際情勢を非常にしっかり 西側先進国の情報もちゃんと入手している。インターネットの情報、現地への カは、アネックスBという付属文書を提出し、交渉を決裂させた。 そういうことまで、彼等はちゃんと把握していたとは驚きでした。 コソボのアルバニア系住民に被害が出たのは空爆開始後のことだ。 「アメリカが何が何でも空爆したかったのは、世界制覇の戦略構築のためだっ 筆者は地雷がたくさん埋まるコソボで、実際に劣化ウラン弾を見つけ出し、 慶応大学の藤田教授は、「世界最大規模の環境破壊だ」と指摘した。
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