戦後アメリカと日本で活躍した日系ヒールプロレスラー,グレート東郷のルポタージュです。
力道山との交流を線に
「隠された出自(ナショナリティ)とナショナリズム」を論じてゆくのですが,
仕事が甘すぎる気がしました。
グレート東郷の資料があまりに出てこなかったことに,
大変だったのですねとは思うのですが,
出自と行動を結びつけて論じるのでしたら,生い立ちが不確定的だとあまりにも仮想的な話になってしまいます。
それを強引に現在の日本で強まっていると感じられるナショナリズムへの警鐘へとつなげるので,
核がぬけた議論になっていると感じられます。
もう少しアメリカでの取材を深めてからでなければ発表してはいけない本だったのではないでしょうか。
著者のプロレスの見方に賛同するものであるだけに残念でなりません。