「キサラギ」や「アフタースクール」のように、ドンデン返しが売りの映画です。話の設定は、ウソ臭いものの、展開が非常によく出来ています。見事に騙され、驚かされますよ。
小川が覚える違和感は、そのまま観客が感じる矛盾点となって、謎解きの面白さを味あわせてくれます。何か得体の知れないものに操られている不快感がとてもリアル。
また、シチュエーション・コメディーとしてもよくできていて、かなり笑えます。計画通りにいかず、状況がどんどん複雑になっていくのが可笑しい。セリフの「間」も上手いです。まぁ、ラストはブラックな終わり方で、ハッピーエンドではないのですが...。
内野聖陽は、本当に達者。変な表現ですが、羊の皮を被った狼を、本当に羊じゃないかという雰囲気意を漂わせながら、ちゃんと狼を演じている。(笑) 彼のおかげもあって、最後まで画面から目が離せない。
佐津川愛美は、「腑抜けども悲しみの愛をみせろ」で『したたかな』女の子役を文字通り『したたか』に演じてたけど、本作でもアナーキーさを秘めた役どころを演じてます。
で、特筆すべきは、やっぱり管理人役の大堀こういちでしょう。役者的にはおいしい役どころなんですけど、なんというか、すごい存在感!
堀部圭亮の初監督ぶりも、まずまず。長編初監督作としてはレベルが高く、才能のある人だと思います。うまく小劇場のお芝居を観たって感じ(実際、映画化の前に、舞台で演じられている)にしている。
脚本は、「アヒルと鴨のコインロッカー」の鈴木謙一とともに堀部圭亮が名を連ねています。冒頭、目的を見つけられずに生きている人間のことを嘆くシーンで始まり、終わりますが、これは、このエレベーター事件の後なのか? 彼は「2軍の人生でも、バットを振らなければ始まらない」と言うが、小川の妻の依頼は「バットを振るチャンス」だったのだろうか? 映画にテーマ性を持たせようとしたんでしょうが、そのあたりは、物語の趣旨と少々ズレているような気がします。