昨年末34年間の幕を閉じた日本版「月刊PLAYBOY」誌。その中でも、本家アメリカ版のスタンスにリスペクトされ他誌とは一味違う名物連載であったのがロング・インタビュー。今作は、雑誌最後のインタビュアーであったノンフィクション作家足立倫行により行われた8篇を纏めたもの。取材相手はいずれも各分野で活躍する人々であり、本来ならハード・カバーとして世に出てもおかしくないと思える本。お得感の強い新書版にて嬉しい刊行だ。
昭和史には人類が体験したすべてが詰まっている、との持論で、戦争と天皇制について拘り続ける保坂正康、フェミニスト批判者の意外な理由は?の内田樹、珍しや私生活について饒舌に語る初々しい佐藤優、オウム事件で一大バッシングを受け、天国と地獄を経験した島田裕巳、最高裁上告棄却、懲役刑確定直後の田中森一、裏社会の組織と人間への飽くなき関心から極道にも媚びない溝口敦、、、。
インタビューの時期から時間は推移しているが、少しも古さを感じさせない部分も多い。どれも、限られた時間、スペースを有効に使った濃厚さで、取材相手の思考、感情を引き出しながら、人生の軌跡、私生活やその生き方まで語らせる。
重松清からの逆取材と言う粋な趣向で締められる今作、インタビュアーとインタビュイーとの幸福で変幻自在な真剣勝負のひとときを味わいながら、願わくば、足立が果たせなかった米原万里や堤未果との“コラボ”も、読んでみたかった気もする。