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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
何と切ない,
By 藍森 翔 "翔" (ドイツ) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 悪人(下) (朝日文庫) (文庫)
「さよなら、愛しているけど。さよなら、愛しているから。」 色んな読みがあろう結末ですが、わたしはそういうストーリーだと読むことに決めました。 理由は、同著者による東京湾景 (新潮文庫)の視野です。 或いは、愛すことを求める気持ちの切なさが描かれていると言えましょうか。 また、被害者の父親や、バスの運転手という市井の人物や、被疑者の友人の立場を借りて訴えられる作者の人間観が、確実に読む者に伝わります。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
上巻よりは小説らしかった,
By
レビュー対象商品: 悪人(下) (朝日文庫) (文庫)
正直、上巻を呼んだ時は、あまりに浮ついた感じがして、ちょっと感情は入らなかったけど、下巻は人間の情緒が細やかに描かれていて、ずっしりとこたえました。これをどう捉えるかは読んだ人任せなんだけど、結局は真実は誰にも分からないんだから、自分で考えて、落ち着くしかないジレンマに秋の夜長悶えましょう(笑)
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
何がどこにあるのか。,
By 川合 雅寛 "masahirok_jp" (渋谷区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 悪人(下) (朝日文庫) (文庫)
先日、映画版 悪人を見て最後の「俺は・・・、あんたの思っているような男じゃない」があまりにもどう解釈していいのか解らなかったので、小説を買うと心に決め、そのままの勢いで読み切ったのだった。一緒に居てくれた人からは「あれは光代が罪に問われないためにでしょう」と言われ、確かに最初はそう瞬間的に思ったのだけれども、本当にそれだけなのか、と読むことにしたのだ。 この小説の始まりは、祐一の逮捕から始まる。 そして、祐一を取り巻く環境と殺された女性の環境が交互に映し出される。 この小説を読むほどに、祐一という人間が抱える闇は驚くほど少ない。むしろ、無に近いのかもしれない。体の8割は第三者へのいたわりからで来ている。 この殺人も自ずと優しさの押しつけと誤解から始まったことだったのかに思える。小説版の方が祐一の精神面と行動面を深く掘り下げている分非常に解りやすく、そこに至った経緯も理解がしやすい。なぜなら、映画の祐一は何も言わないし行動をしない。光代を見続けないとそこには何も無いからだ。 上巻はほとんどそこに焦点が置かれていて、下巻は映画の内容通りに話が進んでいく。むしろ、小説では下巻が淡々と進んでいくが、映画だと下巻部分を掘り下げている。つまり下巻は光代の物語だからだ。ヒロインであり狂言まわしである光代がキーファクターなのだが、光代の面から光を当てすぎると光代の感情の流入が強すぎてぶれてしまう部分がある。 だから小説は祐一サイドを明確に書いているので、僕には解りやすかった。 男の精神なんてこんなもんよと思ってしまう。 最後の「女性を追いつめることに快感を覚えとったんです」という台詞があるのだが、これは検事に言わされた結果だろう。祐一は優しすぎる人間でそれを表現するのがすごく下手な男の子なのだから。 祐一のばあちゃんが「・・・これまで必死に生きてきてとぞ。あんたらなんかに・・・、あんたらなんかに馬鹿にされてたまるもんか!」とあるが、痛いほど伝わってきた。なんで、まじめに生きている人間が搾取されなければならないのか、そんな悲痛が聞こえてくる。 佳乃の父親、佳男の台詞がまた心にざっくり刻まれてきた。 「今の世の中、大切な人もおらん人間が多過ぎったい。大切な人がおらん人間は、なんでもできると思い込む。自分にはうしなうものがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものも無ければ、欲しいものも無い。だけんやろ、自分を余裕のある人間ち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ」 裕福さとは何なのか。ただ、大切な人を思うことではないのだろうか。大切な人たちと歩いていくことではないのだろうか。 この話では悪人を佳乃を蹴りだした大学生や社会の代表の振りをするマスメディアだったりするのだが、小説でも映画でも、そうはいっても人を殺したのは祐一で公的な裁きを受ける訳だ。そして、小説では本人は死んで詫びるしか無いぐらい反省している。そして、光代も逃亡補助をしているので、祐一がかばったとはいえ、心の中で常に葛藤がなされている。 光代も祐一もAROUND 30であり、自分達の世代でありどのように世界を見つめるのかがとても重要になってくるのだが、最近の親とのやり取りで感じるのは、誰しも佳男のように子供のことを大切に思ってくれているし、自分も親のことを大切に思っている。そして、自分の中にも祐一のような不器用さと優しさはある。問題はそれをどのように制御していくか、そして、社会とどのように向き合っていくのか。 悪人という作品は2009年までの閉塞した日本そのものであり、一般には出会い系殺人とよばれる事件を裏側から書いたものであるが、これをどのように各自受け止めていくのかが、2010年以降の日本の社会に求められることだろう
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