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悪人(上) (朝日文庫)
 
 

悪人(上) (朝日文庫) [文庫]

吉田 修一
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (69件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った金髪の土木作業員に殺害された。二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか? 佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、出会い系サイトへアクセスする。そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。光代を駆り立てるものは何か? その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。誰がいったい悪人なのか? 事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは? 毎日出版文化賞と大佛次郎賞受賞した著者の最高傑作、待望の文庫化。

内容(「BOOK」データベースより)

九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か―。

登録情報

  • 文庫: 272ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2009/11/6)
  • ISBN-10: 4022645237
  • ISBN-13: 978-4022645234
  • 発売日: 2009/11/6
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (69件のカスタマーレビュー)
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86 人中、78人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By aebee
形式:文庫
終章のクライマックスに至って「本当の悪人は誰なのか、何かのか」という問いかけが鮮明に出てくるようになる。それに伴い内容も俄かに濃いものを帯びるようになる。

悪人とは実は法律上は無実で、実際に殺してもいない増尾であり、房枝のような弱者を食い物にする健康食品会社の男たちであり、娘を失った父親に残酷なFaxを送りつけてくる見えない相手なのだ。

「あの人は悪人やったんですよね?」という実に人間的な哀愁にあふれた問いかけをしているその対象である祐一は、恋人の光代を庇うべく殺意を装い、自分を捨てた母親が「十分罰を受けた」と思えるよう、「敢えて」金をせびって「やる」ような人間だ。

出会い系で出会った相手から金をせびる佳乃は、霊の姿になって父親に謝罪する。

何もない人生ゆえに、一時的に好きになった相手の自首を思いとどまらせ、一緒に逃げる光代は、自分が脅して逃亡の道連れにしたという祐一の証言で、世間的には堂々たる「善」に回れる。

このように善悪がきっぱりと決められない人物像の中で、私にとって明らかに善だった唯一の人間は、孫、祐一の行いに心を痛め、弱者であり続けた人生を思い知らされる房枝に「ばあさんは悪かわけじゃなか、しっかりせんといかんよ。」と声をかけるバスの運転手だ。

彼が完全な「善」たり得ているのは単にこの小説の中でほとんど「不在」だからだ。

一番好きだったシーンの一つは、光代が祐一と逃げながら何もなかった去年の正月を思い浮かべるところだ。自分には欲しい本もCDもない、行きたいところも、会いたい人もいない・・・。

また、重厚なのは、自己犠牲ということをきちんと知りながら不幸な展開で殺人に至る祐一の「でもどっちも被害者になれんたい」(単行本、p.413)という言葉である。

読み始めた時は、ルポルタージュのような展開からカポーティの「冷血」を思い出したが、あっちの方はどういう「善悪」の分け方をしていたっけ?忘れてしまった。
このレビューは参考になりましたか?
57 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Rumiko トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
若い、祖父母とひっそりと暮らす青年が、一人の女性を殺害する。

田舎に暮らし、車以外特に娯楽もなく暮らす青年。
その暮らしぶりは、ストイックそのもの。
出会った女性に対しては、とにかく尽くす。出会いが風俗や出会い系サイトなど、どんな形であれ。
不器用に尽くす彼が、どうやって女性を殺害するに至ったのか、
そしてどうやって、逃げて行くのか…

読み始めた時に、彼は悪人に見えました。
でも読み進めて行くうちに、彼は本当に悪人なんだろうか…という疑問がわいてきました。
そして読み終わった今、私たちが、実際に目にしていない事件の真髄を知ることなど、まれなのだろう、と思っています。

そんなことを考えさせてくれた小説でした。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「都市」と「地方」、「富」と「貧」、「もてる」と「もてない」、「既婚」と「未婚」、そういう対立軸のなかで劣位にある男女の主人公は、逃避行の中でつかの間の恋を燃え上がらせる。
いや二人が渇望したのは恋というよりはもっともっと根っこにあるもの、かけがえのない人間として互いに求め、求められるという存在の意味そのものだったかもしれない。
それは、誰もが欲望や嫉妬、憎しみに翻弄されるこの世界の中で、逃避行という例外的な状況においてのみ純粋に成立しえた善悪を超えた特権的な経験であったろう。

祐一が逮捕されたあとの光代が、「昔のまんまです。あの人と出会う前の生活のまんま。」と語っているように、その出来事は光代の表面的な人生を変えてしまうことはなかったが、恋愛というよりもお互いの存在そのものを求め合う根源的な経験は、「生きた証」として二人の中に深く刻みつけられて生き続けるに違いない。

九州の福岡、佐賀、長崎を舞台に、実際の地名を挙げてそれぞれの土地の特色をよく描き出していることが、この作品のリアリティを支えている。
特に佐賀平野のあののっぺりとしたとりとめのなさの描写は、不発の人生を送ってきた光代が住む舞台としてぴったりで(佐賀の人すいません)、効果をあげていたと思う。

映画を見てから原作を読んだのだが、むしろ映画が原作のエッセンスをつかんでよく表現できていることに感心した(原作者も映画の脚本を担当したらしい)。もともと場面転換の手法などが映画的で、映画化に適した小説だったともいえるかもしれない。
主演の深津、妻夫木の二人は言うに及ばず、樹木希林、柄本明の真に迫る名演、久石讓の音楽、李相日の演出と、脚本、俳優、音楽、監督の揃い踏みで、個人的には映画を見さえすれば十分にこの作品を味わうことができると感じた。映画が原作を凌駕しえた一例だと言えるのではなかろうか。
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そんなに悪人とは思えない
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無意味な登場人物たち
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投稿日: 13か月前 投稿者: ブッチー
悪人とは
福岡・佐賀県境にある三瀬峠で若い女性の絞殺死体が発見される。被害者は福岡の保険外交員で、犯人は長崎の土木作業員である。二人は出会い系サイトで知り合った。続きを読む
投稿日: 13か月前 投稿者: 暮坂透
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