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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
客観達観,
By 古書あおばや (北関東) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 悪人正機 (Καρδια books) (単行本)
各テーマについて短くかつ淡々と語られている。淡白過ぎて昔からの読者には物足りないのかもしれないが、入門者の私は、読後視野が明るくなるような感覚を得て、とても心地よかった。いつもは雑音で聞こえなかった物事の本心が聞こえるようで面白い。真実を見る眼というと言い過ぎかもしれないが、現実の捉え方は普段考えているよりも、もっと簡単で良いのだと感じた。読む前は、ものの見方はすべて知性に負うと思っていたが、知性とともに姿勢も大切だとわかった。物事の捉え方を、ちょっとだけ教えてもらったような気分である。
23 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
随所に光る熟成した言葉,
By
レビュー対象商品: 悪人正機 (新潮文庫) (文庫)
糸井重明が提示する質問に、吉本が回答する人生論である。ポロット語られる言葉の切れ味が良い。例えば、本のカバーにもある「ほとんどの人が本当は友達ゼロ」の他にも「よく切れる刀っていうのは刃が鈍なんだ」(小林秀雄の言葉を引用して)、「円満な家庭なんて、そんなものはねえんだよ」、「テレビを見るのは、たださみしいから」、「上司以上に大切なのは、実は「建物」なんだ」などなどである。 おそらく吉本は世間の常識・神話を根底から再評価する作業を一通り済ませているのだろうという印象を受けた。その他、「志賀直哉は素質、芥川龍之介は刻苦勉励」など文学についての独特の発言もあり、楽しめる。
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ビートたけし・泉谷しげる・吉本隆明,
By とおのとほ (山形県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 悪人正機 (新潮文庫) (文庫)
ビートたけし・泉谷しげる・吉本隆明。この3人は東京下町育ちで、塗装業、大工、船大工という職人を父に持ち、そろって下町言葉を捨てず、並外れた業績をなしても庶民感覚を失っていない人たち。本書も糸井重里のインタヴューに答える形で、知の巨人だというのに生活レベルで喩えを持ち出すので、思想というより人生訓という感じがして好感を持てる。
吉本の著書は若いころはがんばって読んだものだ。著述には文章執筆の気負いと精確さをねらうのと思索の現場というものが詰め込んであってかなり難解なところがあったものだ。 この本によって吉本とひさしぶりに再会してみれば、それら著書の現在的な結論が簡潔的に述べてあって、彼のこれまでの営為が分かりやすく俯瞰できた。その中には感覚的な表現も混入してあって、それは懐かしいかつての著書へリンクすることがまかせられていて、それなりに読み応えがあった。 すごいな、と思ったのは、高齢になっても若いころの自分の著述してきたことをしっかり覚えていて責任を持っていることだ。 オウムや黒田寛一など危ない名も出てくるが、こういうことには感覚的な嫌悪感など持ち出さず謙虚に、真摯に取り上げている。その逆にタイトル「悪人正機」の由来に繋がることだが、正義を他人にまで押しつけ社会全体が一色に染まらないと気分が悪いという人たちへの嫌悪感も健在で心強い。将来「単一民族」意識のある日本が戦争などヘンな方向に向かうとき、このような人物が再来することを願ってやまないと思ったものである。 彼を中学校へ招いて放課後の学習会をお願いするなら、彼がどんなにかみ砕いて話をしたとしても理解できないかもしれないが、彼に接した子どもたちには人生上の事件になり、進路を左右することは間違いない。ちなみに教科は、数学、理科、社会、国語かな。私立なら宗教も。
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