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悪人列伝 古代篇 (文春文庫)
 
 

悪人列伝 古代篇 (文春文庫) [文庫]

海音寺 潮五郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

歴史上、悪人ときめつけられてきた人物も、時の権力者によって貼られたレッテルにすぎないことが多い。改めてその時代の背景と人物像を見直してみると、人間的な側面が現われてきて興味ある実像が形作られる。蘇我入鹿、弓削道鏡、藤原薬子、伴大納言、平将門、藤原純友。海音寺史伝、待望の復刊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

海音寺 潮五郎
明治34(1901)年、鹿児島県に生れる。国学院大学を卒業後、指宿や京都で中学校教師を務めるかたわら創作にはげむ。「サンデー毎日」大衆文芸賞受賞を機に、執筆生活に入る。昭和11年、『天正女合戦』で第3回直木賞を受賞し、文名を不動のものとした。和漢の書にあまねく通じ、綿密な時代考証の上に、独自の史観を展開し、小説に随筆に新たな領域を拓き、多くの著作を残した。昭和52年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 375ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2006/11)
  • ISBN-10: 4167135485
  • ISBN-13: 978-4167135485
  • 発売日: 2006/11
  • 商品の寸法: 15.2 x 11 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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史伝 2007/2/13
By ロー
形式:文庫
史伝を書かせたら海音寺さんの右に出る人は日本にはいないと思います。武将列伝と合わせて読むと色々な人間が居ることが分かります。古人の生き様、死に様を知ることは自分を客観視する何よりの契機です。その点史料に忠実にかかれた悪人列伝は最高の教科書です。古臭いとは感じませんでした。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
文化 2011/6/11
形式:文庫
私は、列伝中、「蘇我入鹿」伝が一番好きだ。
ただ悪人をあらわしているのではない。
蘇我氏は先祖代々、大陸からの文明を積極的に受け入れる進歩派であった。
仏教の受け入れも、ほかの保守的な豪族とたびたび摩擦を起こしている。

仏教について、氏は、
「仏教には建築・彫刻・絵画・刺'・織縫などの技術が付随している」と書いている。
仏教といえば、いまの私たちからみれば「古臭い」イメージだが、
氏のおかげで、仏教が思想ばかりでなく当時最先端の技術であり、
きらびやかな文明・文化の伝来であったことを想像できて新鮮だった。

小説を読むときも予備知識として役立つ。
たとえば、司馬遼太郎氏は「石田三成」が大好きだが、
海音寺氏は別な見方をしている。
比較できるので、
歴史小説に対して、客観的に一定の距離でみることもできる。

この列伝を読むと、
なにか物知りの学校の先生に教わっている気がして、
心地よい。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
日本史上「悪人」と呼ばれる人物を考察したもの。本書は古代編で対象は、「蘇我入鹿」、「弓削道鏡」、「藤原薬子」、「伴大納言(善男)」、「平将門」、「藤原純友」。本人を論評するのではなく、「何故、彼らが悪人と呼ばれるようになったのか」を時代背景などを踏まえて考察している点が特徴である。

「入鹿」の章では蘇我氏の興亡がメインで入鹿はその最後の一コマ。目玉は蝦夷天皇説だが、私は天皇制なる制度は鎌足・不比等が確立したと考えているので、本説には賛同できない。鎌足が蘇我氏の手法をベースにしたとは思っているが。「道鏡」の章では孝謙天皇を中心に描かれる。だが、男女の愛欲に比重が置かれ過ぎ。仲麻呂が天皇の位を狙ったという可能性は高いが、道鏡は実は清廉潔白な僧侶だったと言うのが近年の定説。全ては権力闘争なのだ。「薬子」の章では平安遷都の理由を"大魔王"祟道の祟りに求める辺り、梅原氏の"怨霊史観"を想起させ面白い。男性陣とは異なり、「悪女はやはり悪女」と言う結論も説得力(?)がある。「善男」の章では他の人物と比べ知名度が低いせいか、本人の生涯を細かく追っている。悪人と言うよりは、現代で言うと出世欲に取り憑かれた官僚のようだ。冒頭から本章までは、鎌足から良房に至る藤原氏の興隆の足跡を辿っているかのようである。「将門」の章でも前半は藤原氏の専横と"怨霊"道真、そして武士の発生が語られる。将門の乱の背景である。五代の後胤だが低い扱いを受けていた将門が"成り行き"で蜂起した様子が詳細に描かれる。京の公家に対する地方武士のレジスタンスの先駆けだったのだ。「純友」の章では将門と時を同じくして蜂起した純友の乱を、朝廷の財政(土地)問題、東アジアの動乱期、瀬戸内海賊の横行との関連性で切って見せる。

史料の綿密な考証と作家としての奔放な想像力で歴史マニアを楽しませる快作。
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