子供を主人公にした恐怖映画は多いが、この作品は少年の感受性を繊細に描きつつ、突如ぞっとさせるような衝撃的な展開を見せる、知られざる傑作だ。原作・脚本はトマス・ライオンだが、ある種レイ・ブラッドベリの作品にも通じるものがる、と書けば何となくイメージが浮かぶ方もいると思う。
コネティカット州のとある村に住むロシア系の家族に起こる事件。ほとんどロケで撮影された映像は、自然の風景や主人公の双子の少年が暮らす家など、独特のムードがあっていい。
また、少年に対する祖母の教えにシャーマニズム的な要素があるのも面白い。カラスの目になって村の上空を「飛ぶ」シーンなどはこの作品の不可思議な雰囲気を印象的にしている。そして、少年たちの父が事故死したことで精神を病んでいる母が、2階のテラスに初めて登場するシーン・・・、まるでおとぎ話の囚われの姫が現れたような雰囲気で、はっとする。監督のロバート・マリガンは明らかにこうした「少年の目線」で視た、ファンタジー的な世界(こうしたところもブラッドベリっぽい)を意識して前半を演出している。
そして・・・後半、我々観客は語り手の「騙り」にまんまとだまされていたことに気づく。衝撃の展開・・・!説明すればするほど、ネタバレになってしまうので、多くは語らないが、これは久々に「怖い」というか「やられた!」と思ったサイキック・サスペンスの名品である。
「何となく気になっているが、どうかな・・・」とお思いの方、ぜひ観て頂きたい、とオススメする。
正直、自分の映画オタクぶりには結構自信があったのだが、ロバート・マリガンは名前は知ってはいたものの、全くノーマークの監督だった。そしてこの映画も。不覚。というか嬉しい。まだまだ知られざる傑作は山のようにあるのだ!
最近はツタヤの「発掘良品」シリーズもがんばっていて「殺しの分け前 ポイント・ブランク」「ジャガーノート」「ダラスの熱い日」などが続々レンタルで観れるようになって喜んでいたが、この「リクエスト・ライブラリー」シリーズは本当にマニアックで凄い。
「魚が出てきた日」では、画質が悪かったせいでちょっとヒステリックなレビューを書いてしまったが、このソフトには素直に「素晴らしかった。ありがとうございます!」と言いたい。
余談になるが、「字幕:清水俊二」とパッケージ裏に書いてあったのになぜかホロリと来てしまった。公開時の字幕訳をそのまま使っているのか・・・その時代の言葉遣いとのギャップみたいなものも楽しもうと思って観たのだが、清水訳は癖がなく、全く違和感を感じなかった。巨匠恐るべし。ここでも参りました。