1850年メキシコの港町。カリフォルニアを目指す元保安官フッカー
(ゲーリー・クーパー)、賭博師フィクス(リチャード・ウィドマーク)、
血気盛んなデイリー(キャメロン・ミッチェル)が、乗っていた船の修
繕のために、一時的に上陸する。3人が酒場で寛いでいると、ア
メリカ人女性リー(スーザン・ヘイワード)が駆け込み、落盤事故に
遭い、金鉱に閉じ込められた夫の救出を願い出る。彼女の美貌
と高額の報酬に惹かれた3人は、彼女と共に救出に向かうこと
にするが…。
後に『
勇気ある追跡 [DVD]』(69)で、ジョン・ウェインにオスカー主
演男優賞をもたらした職人監督ヘンリー・ハサウェイによる西部劇
の佳作。欲望渦まく登場人物各人の対立を丁寧に描いて緊張感
を持続し、インディアンとの攻防のクライマックスへとなだれ込むと
いう、繊細な心理描写の前半とダイナミックなアクションの後半を
何なく捌くあたりの鮮やかさは、ベテラン「活動写真屋」ハサウェ
イ監督ならでは。シネスコ画面一杯に捉えられるメキシコの殺伐
とした、美しい景観とバーナード・ハーマンの重厚なスコア(彼の
手がけた唯一の西部劇)もドラマをより一層引き立てている。
実質、主要4人で展開されるドラマなので、当然、それぞれの俳
優の力量が重要になってくるが、クーパー(公明正大な元保安官)、
ウィドマーク(金が目当てのニヒリスト)、ミッチェル(金と女が目当て
の小悪党)、ヘイワード(陰のある美女)が、タイプキャストと言ってし
まえばそれまでだが、それぞれが実に好演で、キャラクターが立
体的に立ちあがっているのはさすがだ。キャスティングの妙だろう。
その中でも、特にウィドマークは儲け役で、彼が吐く名言は、和田
誠氏の映画セリフ集の名著『
お楽しみはこれからだ―映画の名セリフ』
に収められていることは、あまりに有名。
本DVDは、米盤の発売から待たされただけあって待望の発売だ。
画質、音質ともに製作年を考えると実に良好。また、作品に関する
ドキュメンタリー(映画史家、クーパーの娘のインタビューなど)、ヘン
リー・ハサウェイに関するドキュメンタリーが収められていて、本編
後に観ると、作品への理解がより深まり、実に楽しい。