本書の主人公の蓮見は優れた知能をもち容姿端麗で生徒にも人気があり、
保護者や同僚からも評価されている高校教師だ
しかし実際は他人への共感能力が全く欠如したサイコパスで
過去にも多くの事件を起こしているが頭脳明晰な主人公は罪に問われることもなく
今の職場の高校でも次々と悲惨な事件を起こしていく
本の中で主人公の天才っぷりを色々なエピソードで語られるんだけど
正直僕には主人公の蓮見の行動を見てるとどうもそんな優れた知能をもった
魅力的な悪人には見えなかった
だって主人公のやってることって自分の目先の利益のためにやった悪事が
バレそうになってそれを隠すために事件を起こすってパターンだけなんだもん
まるで子供がついた嘘がばれないように苦し紛れに嘘を重ねていくみたいに。
主人公は普通の人とは違い問題の解決のために殺人という選択肢を排除しないだけ
というようなことを言うんだけど、サイコパスではあっても快楽殺人者じゃないみたいだし、
そんなに天才なら殺人なんてリスクを起こさずもっとうまい解決法を
思いつきそうなもんだけど
あと後半でそんな主人公が殺すことに躊躇して自分でも混乱するシーンがあるのに
その後の展開で何も活かされてないのも気になった。
あれだけ非道さを書いた後に感情の芽生えみたいのを描くならそれなりに書き通してほしかった。
主人公の怪物性がよくあるトラウマ的なものでなく生まれつきのものっていう設定は個人的には良かったと思う。
色々不満な点を書いたけど、これだけのぶ厚く陰惨な小説をスラスラと読ませる
著者の力量は確かで、エンターテイメントとして優れた小説だとは思います。
あとハードカバー版は上下巻に分かれてるのに対して本書は一冊にまとまってて
値段も一冊分で済むので、ハードカバー版のとき興味はあったけど
手が出なかった僕のような人にとってはありがたかったです。