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悪について (岩波新書)
 
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悪について (岩波新書) [新書]

中島 義道
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

残虐な事件が起こるたび、その“悪”をめぐる評論が喧しい。しかし、“悪”を指弾する人々自身は、“悪”とはまったく無縁なのだろうか。そもそも人間にとって“悪”とは何なのか。人間の欲望をとことん見据え、この問題に取り組んだのがカントだった。本書では、さまざまな文学作品や宗教書の事例を引きつつ、カント倫理学を“悪”の側面から読み解く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中島 義道
1946年福岡県生まれ。1977年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1983年ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 216ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2005/2/18)
  • ISBN-10: 4004309352
  • ISBN-13: 978-4004309352
  • 発売日: 2005/2/18
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
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29 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 カント倫理学最良の入門書である。「厳格主義」として知られるカントの倫理学を、いわば、「裏側から」かつ体系的に説明してくれている。
 特に、第2章「自己愛」は圧巻である。ここで著者は、カントの『人間学』の冒頭で「エゴイズムについて」というテーマを扱っていることを述べ、カントが『純粋理性批判』だの『実践理性批判』だのといった著書名から連想されるような「理性的な」人間像をもっていたわけではないことを説明する。むしろカントは、人間がいかに自己愛=エゴイズムに支配され、抜け切れず、もがいて生きていかなければならないか、人間のなまのどろどろした部分をよく観察していた、ということであろう。
 「人間が『私』という言葉によってみずからを語り始める日から、彼はその愛する自己を許される限り押し出し、エゴイズムはとどまるところなく前進する。それは、あからさまにではなく(なぜなら、あからさまだと他人のエゴイズムと対立するから)、一見自己否定的であり謙虚を装うことによって、いっそう確実に他人の判断において自己に卓越した価値を与えるために、身を隠して前進するのである。」(『人間学』)
 また、個人的な感想としては、著者のこの語り口にも共感を覚えた。
「人間は、自ら完全になろうとして刻苦精励し、他人の幸福を望み、他人に親切にすればするほど、必然的に悪に陥る。・・・悪はすべての『善くあろう』という意志の中に溶け込み、社会を『善くしよう』という欲求の中に紛れ込む。・・・われわれは『善くあろう』ということを完全に放棄して、魯鈍な羊の群れに戻ることもできない。まさに出口なしである。われわれは(どんな極悪人も、どんな聖者のような人も)『道徳の学校』の落第生でありいくら努力しても優等生になれないのだ」
 著者(およびカント)と共に言えば、われわれは、この人間にすまう「悪」を真摯にうけとめ悩み苦しんで生きるほかなさそうだ。これこそが「よくいきる」ことにほかならないのかも知れない。
このレビューは参考になりましたか?
20 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 今日では肉親殺し・幼児虐待、あるいは青少年犯罪などの社会的諸問題の報道を耳にすることが多い。そのような報道とあいまって、われわれは漠然とした「悪」概念を、「善」である自らの行動・行為と対置されるものとして想定し、議論または意見することが日常の中で多いのではないだろうか。
 しかしながら、このように頻繁に用いられるこの「悪」という概念、何をもって「悪」というのか、その定義は容易ではない。もちろん、多くの抽象的概念の定義が難しいことは言わずもがなではある。しかしながらこの「悪」という概念は、その響きそのものの持つネガティブな潜在的特質のために、他の概念に比べいっそう使用に注意を払わなければならないだろう。
 本書ではカント倫理学の「根本悪」の概念を手がかりとし、「悪」概念を再考すると同時にその思想を分かりやすく紹介している。一般的に哲学書の多くでは、抽象的思弁が議論の中で拡散しがちである。その点本書は、難解なカント倫理学を「悪」という焦点のみに絞ることにより、議論の脱線をすることなく一本の理解の道筋が提供できるよう配慮されている。ドストエフスキーをはじめとする文学作品等から諸例を引用することにより、読者の理解をなんとか導こうとする筆者の工夫も見受けられる。
 だが、いかに分かりやすく議論が運ばれているとはいえ、カントの思想を私はほとんどといってよいほど理解できていないことは否めないだろう。しかしながら本書の内容構成から、少なくともカントがいかに「悪」という概念を考えていたかを漠然とではあるが理解することはできたように思う。「悪」とは「善」であると思い込んでいる人々にこそ存在しており、われわれとまったく無縁のものではないのである。
 総じて、決して平易ではないものの、筆者の助けのもとで「悪」概念の相対化を行うことができる良書である。 
このレビューは参考になりましたか?
32 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
(;'Д`)ハァハァ この書物は悪について述べているが、概要はカントにおける倫理学の入門書である。
カント倫理学をやさしく解説しておられる。

『自己愛』や『エゴイズム』から人間の本質をえぐりだす彼の論旨は明確かつ分かりやすい。
要するに、カントは、人間がいかに自己愛=エゴイズムに支配され、抜け切れず、もがいて生きていかなければならないか、人間の生の感情を
理解しやうとしていたのかが伝わってくる。

人間は結局のところ、自己愛=エゴイズムを推し進めているだけである。だがそれをうまくごまかしている。その 『ごまかし』にこそ悪辣さがある。
筆者はカント哲学を通して そう言っている。

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投稿日: 7か月前 投稿者: ヌース2
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投稿日: 8か月前 投稿者: vehicross
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投稿日: 15か月前 投稿者: Gori
不完全なカントの倫理学を知るために
 この本では「正しさ」の中にも悪が存在するということを、繰り返し主張しています。... 続きを読む
投稿日: 2009/12/10 投稿者: Wonderer
途中までいいんだけど
偽善者を糾弾するくだりは面白かった。が、道徳がなぜ宗教へ必然的に至るのかが、著者は結局分からないという。それは片手落ちというよりほかはあるまい。カントの三つの問「... 続きを読む
投稿日: 2009/5/5 投稿者: 無職
カント
カントなんて原書を読もうと絶対に思わないので、それについてわかりやすく知ることが出来たのは良い。
ただ結論が出てないのが残念だったかな。... 続きを読む
投稿日: 2009/3/8 投稿者: ちよすけ
でました!
駿台模試の現代文の問題で、文章を読んだところ、

「なんだかどっかの誰かに似たひねくれ者だなあ」... 続きを読む
投稿日: 2006/10/13 投稿者: 丸暗記太郎
良書である
もし読者が一般的に悪とされる行為が何かを明確にしたいと思っているなら注意が必要である。... 続きを読む
投稿日: 2006/1/2 投稿者: ( ^ω^)
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