表紙の絵と相まって、なんだか漫画の原作のようだと思いながら読みました。
邪の家系、整形で別人、初恋の女性を守るための殺人。
ラストの明るさのある終わり方は好きです。
読後感は純愛物を読んだ気分。
この作者、読んだのはこれで3作目ですが、どこかクセになる暗さがあります。
でもいわゆる人間の悪意とか闇を描いた、というのとはどこか違う。
もっといや〜な暗さでこれでもかと性悪説に走る小説とは決定的にタイプが違うと思います。
例えばこの主人公、女性を心から愛せるし、人への信頼もちゃんと持ってる健全な人だと思います。
育った環境は異様ですが。
彼は一度も探偵を疑ったりしないけれど、読みながらもしかしてこの探偵、邪のスパイかも?
と疑った私の方がよっぽど主人公よりすれてるかも....。
テロリストの親戚にあたる若者も虐待を受けて育ったけど、まだまだ立ち直れる。
1番怖かったのは次兄です。とくに日本に9.11を起こさせ、北のせいにすれば平和憲法なんてすぐに吹っ飛ぶ、
というくだりがぞっとしました。こういう人が権力を持ってるのは日本に限らずありそうで。
ただ「掏摸」の方が個人的には好きです。
ところどころ辻褄合わせに気を取られてるのか、妙に文章が足踏みしてる感覚があるのが残念。
これからも期待する作家さんです。