人種差別に反対する事。戦争は悲惨である事。困っている人を助ける事。募金する事。男女平等に扱う事。自然を守る事。
それらは一般に、反論される事がない真実であり善行とされている。
しかし、著者は自身の経験と考察に基づいて、『ちょっと待って』と制止をかける。
現地の人々と話して当事者の事情を知れば、別の真実があるのかもしれない。当然の理由があるのかもしれない。
歴史を紐解いてみれば、表面的な事象の奥に隠れた因果が見えるかもしれない。
立場が異なれば、当然善も悪も変って来るかも知れない。
『悪が良い』と言っているわけではない。ただ、それは本当に善と言えるのか、という指摘である。
善とされるものに待ったを掛けるには、経験と洞察と知恵と……あと、いくばくかのユーモアが必要であろう。著者はそれらを兼ね備えている。
『疑う余地の無い正義』を振り回す人達を見て、『言ってる事は間違ってないようなんだがなあ』と、釈然としない思いを抱く方にお勧めしたい一冊です。