グローバル化で外に開かれた経済と、対テロ戦争で内向きな政治。どちらもアメリカ国内で激しい摩擦を引き起こしている。底辺というか市井の人々を取材してその摩擦の現状を報告した。
かつては南部や大都市などに偏在していたメキシコからのヒスパニック系不法移民が今は全土に広がっている。元住民の激しい警戒感とヒスパニックの不満、しかし、ヒスパニックなしに産業は成り立たない。メキシコ人の不法入国を防ぐ国境の壁まで不法移民が作っているというジョークのような話も。NAFTAの取り決めでメキシコ人の運転するトラックが米国内に入ることになったが、アメリカのトラック野郎たちは「テロの温床になる」「環境に悪い」「俺たちが失業する」と憤る。また、高度な知識があれば安全と思いきや、いまや法務までインドにアウトソースしてしまうほどグローバル化が進んでしまった。イラク戦争などの記述もあるが、人種と経済の問題がよく描かれていた。
読んでいて、やはりグラスルーツ、底辺の生の声がアメリカを体現していると感じた。上質なルポで、アメリカの現状をよく浮き彫りにしていると思う。