既にレビューも出そろっているだろうから今更言うまでもないが、傑作である。
ぐらぐら揺れるカメラワークを多用する映画は9割がたただ見づらいだけになるが、役者の演技を邪魔せず寧ろ引き立てるよう非常に計算された演出が素晴らしい。
アクション、或いは暴力と言っても良いが、そういう描写はただ残酷であればいいわけではない。映画における感情表現は目に見える形で行わなければならず、それは悲しそうな顔をアップで映せばいいというものではない。そういう意味で、この映画は暴力を感情表現として扱っている。そこが良い。
単に陰惨な話で終わらせず、あちこちで独特の笑いを交えるオフビートさも良い塩梅で、それすらも後の展開に向けた布石になっている。言葉で言えば簡単だが、それをここまでピリピリした緊張感を持って描いた作品はそうそうないだろう。
役者のハマり具合も凄いと思う。芝居の呼吸、テンポのひとつひとつがちゃんと映画の一部として100パーセントの力を発揮している。
こういう言い方はどうかわからないが、韓国語の独特の発音というのがこの映画の緊張感やユーモアの印象に貢献しているのではないかと感じた。他の韓国映画でも同じことが起こるわけではないから違うかもしれないが、この映画を観ている間中韓国語特有の語尾の伸ばし方、トーンの上がり方が非常に映画的な快感を持っているように感じた。ひとつのマジックなのかもしれない。
言うまでもなく、絶対にお勧めの一本。2010年の映画を語る上で、これははずせないだろう。