全38話です。
今にもふっとこっちを見てきそうな逆さまの女性の首が描かれた表紙に負けず劣らず、中身のインパクトも凄まじいものです。
つくね乱蔵氏は今まで共著としては何冊もの怪談を世に披露してきましたが、ここに来て初単著と、長いキャリアにしては珍しいですね。
本人も認めているように彼の怪談は「気が滅入り」ます。始めは良い話もあり「へー」とか「ふーん」等と思いながら読み進められますが、徐々に心が蝕まれるような話が登場します。後半はもう厭な話しかないと思ってもらって結構です。
かつて自分が生み出したこっくりさんとの二十年ぶりの再会,座った者は絶対に死ぬ椅子,著者のかつてのバイト先から聞いた話の、その顛末,冷凍庫内に出没する美女とそれに会いたい彼女いない歴=年齢の男,夫が拾ってきた仏壇を処分して欲しいと依頼されるリペア業者,といった話が収録されています。
個人的にオススメは、
正直な女
生け贄
厭水
業火
蔦の家
あかこさん
優しい友達
特別要員
役割
取り扱い危険
跡継ぎ
安楽死椅子
セカンド・オピニオン
現状確認
包囲網
家族の笑顔
ぶんぶん
饅頭こわい
二世帯住宅
です。
特に〈厭水〉はこの中で一番好きです。
人間の汚さが描かれた作品もそうなのですが、死んだことによって人のルールから解き放たれ、自由にしている幽霊というのがまた見事に我々を萎えさせてくれますね。
また〈包囲網〉〈家族の笑顔〉〈ぶんぶん〉〈饅頭こわい〉〈二世帯住宅〉と幸せな家族が崩壊していく様を描いた作品が多いのも厭ですね。
あとがきで触れられていた作品を著者が無事発表できることを祈っています。