小説の中には、一貫して死の匂いが漂っており、それが一種の耽美な魅力を放っています。 ポールやエリザベスの口調が昔の少女漫画に出てくるようなそれであるのも現実離れした世界を彩る要因であったと思います。
読み始めてすぐに、ヘッセの「デミアン」を思い出しましたが、この作品には希望というものがないのが大きな違いでした。
私にも弟がいます。小学4年生までは、同じ「部屋」を共有し、つい何年か前までは実家で一緒に暮らしていました。
同じ環境に育ったため、共通している趣味や好きだと思うものに関しては他人には理解できない独自のものがあります。
エリザベートがポールへの独占欲、そして自分たちの世界を壊される恐怖からアガートのもとへやれなかった弱さはすべてを破壊しました。
自分と弟の関係をエリザベートとポールと比べるのは、無理がありますが、お互いに社会人となった今、私の姉としての役目は弟が新しい世界へと踏み出していく手助けをすることであると思いました。
それぞれが、違う場所でさまざまな人々と関わっていくことで、子供時代は思い出となり姉弟関係も大人同士で築く新しい有意義なものへと変えていきたいです。