登録情報
|
信太郎、雛子、布美子は、私の中で生きているようです。
布美子は確かに幼い部分があるが、私は布美子を否定することはできません。
彼女なりに悩んだ結果の出来事なのですから。宿命なのです。
鎌倉での片瀬夫婦の今について描かれているのも良かったです。
私の頭の中には、自由奔放で美しい時代の片瀬夫婦がいたので、
今はこんな風に暮らしてるのか、、、とまた涙。
ローズサロンの解説文に実は布美子への感謝が記されていたことに、また涙。
最高に悲しくもロマンチックな物語です。特に私のような乙女にオススメしたい(笑)。
主要な登場人物3人はそれぞれ、傲慢で嫌らしくずるいところがたっぷりあります。身近にいたらたまったものではないでしょう。しかし、快楽や欲求に素直な、彼らが作り出す空間には、母親の胎内にいるような安らぎがあります。世間はモラルで動きますが、やはり人は理屈抜きに自分をさらけ出せる場所がないと息が詰まるもの。ここでたっぷり癒されましょう。あたたかいベットにごろっとひっくり返してなめるように読んでほしい。感覚で味わいたい小説です。
舞台は1970年代初頭――学園紛争が終焉に向かいはじめた時期である。
布美子も時代の波と無関係ではいられず、全共闘の活動家である恋人とアパートで暮らしたりする。
しかし、片瀬夫妻との出会いが彼女の生活を一変させた。
それは3人を取り巻く激しい時代をも意識の外側に追いやってしまうほどの、個人的で甘く濃密な世界のはじまりだった。
前半の山場は3人が軽井沢の別荘で過ごした2週間の夏の情景に集約される。
ふりそそぐ陽光、その下で同等に生きる植物、野鳥、昆虫、人間たち・・・。森の中でブルーベリーを摘み、ベランダで昼間からビールを飲み、食べては喋り、喋っては笑う。夜はワイン、読書、音楽、抱擁、接吻・・・。セックスに至るまでのなにげない会話、取り交わされる視線、さりげない触れ合い、そんなものがくり返しくり返しふわりと美しい筆致で描かれている。
まるで英国映画のワンシーンを見ているような軽井沢の美しい風景は、これが永遠に続くはずはないと読者に思わせるにはじゅうぶんで、読んでいくうちにかえって不吉な予感に胸がしめつけられてくるような気がする。
そして現実に、早すぎる崩壊がやってくる。
出会いの不思議さ、人間関係の玄妙さ、運命の暗い存在感、そんなものがこの小説の根底にあるように思う。
「自分はそのためにこそ、生まれてきた・・・」という布美子の独白。
他人からどう見られようと、死ぬまでに「それ」を見つけられた人は幸せである。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|