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恋愛美術館
 
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恋愛美術館 [単行本(ソフトカバー)]

西岡 文彦
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

恋愛こそが芸術!

人が、誰かに恋をし、誰かを愛する時、そこにはその人の美学と人間観が結晶しています。

本書は、美術史を彩る絵画や彫刻の名品を、芸術家の恋愛体験で読み解く画期的な一冊。

あまりにドラマティックな芸術家達の、悲恋・純愛・狂恋の人間模様を通して
美術史上に残る傑作の数々の見方と読み解き方がスリリングに明かされていきます。

モディリアーニの妻ジャンヌの悲恋伝説の真相、
巨匠ロダンとの狂気の恋に身を滅ぼしたカミーユ・クローデルの悲劇、
性の帝王として君臨した巨匠ピカソ晩年の自画像にひそむ地獄図絵、
ルノワール描く美の聖地モンマルトルの青春、
ドガ描く近代都市の泥沼の恋愛等々、
傑作の背景に渦巻く、恋愛の歓喜と苦悩、恍惚と絶望のドラマは、
それぞれ一編の短編小説のように読者を興奮と感動に誘うことでしょう。

画家の恋に名画の秘密を見出し、愛のドラマに人間の生き方を学ぶ名画鑑賞ガイドです。

内容(「BOOK」データベースより)

恋愛小説を読むように絵画を読む。名品の数々を生んだ芸術家達の愛と苦悩の人生模様。ピカソ、モディリアーニ、モネ、ルノワール、カミーユ・クローデル、ドガ、ムンク等、カラー図版60点。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 272ページ
  • 出版社: 朝日出版社 (2011/5/18)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4255005869
  • ISBN-13: 978-4255005867
  • 発売日: 2011/5/18
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
 『絶頂美術館』で西洋美術が描いたヌードの史的変遷を平易に語ってみせた著者が、今度は芸術家が体験した恋愛の数々がそれぞれの作品にどのような影を落としているかを綴った一冊です。

 おそらく本書が描く芸術家の恋―と呼ぶには少々生々しく、性愛と呼ぶ方がよりふさわしいもの―は、美術史に詳しい読者なら既知の情報かもしれません。
 モディリアーニが若くして病死した直後に窓から身を投げて後追いした身重の妻ジャンヌ。
 年齢差がある師ロダンとの恋愛の果てに精神の均衡を失ってしまったカミーユ。
 次々と愛人を作り、その愛人同士の取っ組み合いの喧嘩を喜々として眺めていたピカソ。
 そのどれもが大変に知られた史実です。

 しかし著者はこうしたエピソードのひとつひとつを、品格と深みある達意の日本語で綴っていきます。既に見知った史実も、話し手の語り口調ひとつで二倍にも三倍にも、涙ひきしぼる物語へと形を変えていくということを強く感じます。

 そして芸術家たちの生きざまを通して著者が人生の真意について指摘することに、心衝かれることが一度ならずありました。
 「性には、年齢に応じたありようというものがある。乳児が立って歩けず、老人が俊足では走れないように、性もまた成長と成熟に見合ったかたちで変容していく。(中略)
 問題は、こうした快感の変移を『衰え』とみなす身体観が存在することにある。
 『老成』というものに肯定的な価値を見出さない限り、これに伴う性欲や食欲の自然な変容は『衰え』としか認識できないことになる。」(52〜54頁)

 「人は、その思いのほとんどを語らぬままに生涯を終える。
 思いの大半の、その真の苦しみや哀しみを、ほとんど語らぬまま生を全うしていく。
 (中略)
 芸術というものが、かりにその存在を許されるのならば、その使命は、まさにそうした他者の痛みや苦しみに思いをいたすための、一助となり得る場合のみではないだろうか。」(264頁)

 二度、三度と読み返したい、そう感じさせる魅力的な一冊でした。
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By Largo
 いわゆる世に名高い美術作品の『名作』が、この世に生まれいづるまでには、通常の生活体験を超えた、異常と言ってもよいほどの極限の人間感情やドラマを経ることが不可避であるのであろうか―。そう思わせるに十分な説得力をもつ、本作中のエピソードの数々は、美術の名作が、かならずしも人々の幸福を約束する形で生まれてきたものではないことを残酷にも訴える。とはいえ、ほんとうは、いわゆる『名作』でない、一見凡庸な作品もふくめ、多くの作品がそうであることを、もっとも純粋な形で提示してくれるものが、あるいは『名作』であるのかもしれない。

 本書に於いて、モディリアーニ、ピカソ、マリー・ローランサン、カミーユ・クローデル…等々、時々耳にする歴史上の美術家たちが、いかに苦悩し、呻吟し、時には歓喜に満たされ、理想を求めつつ、しばしば自己だけでなく他者をも滅ぼし、その生命の代償として、きわめてわずかな氷山の一角のごとき名品を残しえたかという事情が偲ばれる。西岡氏の筆致はシンプルでわかりやすく、この手の執筆者にありがちな、いたずらに事実を歪曲しドラマ仕立てに仕上げようとする傾きを極力排し、できるだけ事実を忠実にたどろうと試みているらしい姿勢が好もしい。とはいえ、まったくの事実そのものの、もう一歩先の心情を忖度したいという望みがなければ、本作のようなロマネスクを編むことは不可能にちがいない。いずれにせよ、本書は、美の神に仕える下僕、美を求める情念者・審美者の一派たる美術家たちの創造の背後に、いかに生々しい人間のドラマが潜んでいるかを活写し、同時に端正な美術史・美術エッセイの顔もあわせもつ、きわめて親切な美術入門書をなしている点が、出色であると思う。
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