シモンズのデビューアルバム「恋人もいないのに」がリリースされたのは1971年。
この年がどういう時代だったのか。江夏がオールスター戦で9連続三振を取った年というよりは、
ヒット曲を見た方が、時代の雰囲気がよく伝わってくる。
「また逢う日まで」尾崎紀代彦、「私の城下町」小柳ルミ子、「よこはま・たそがれ」五木ひろし、
「知床旅情」加藤登紀子、「17才」南沙織、「さらば涙と言おう」森田健作、「出発の歌」上條恒彦、
「ポーリュシカ・ポーレ」仲雅美、「雨の御堂筋」「おふくろさん」「さらば恋人」。
そういう時代の中に、彼女たちはデビューしていった。
2011年現在で彼女たちが残した4枚のオリジナルアルバムの内、入手可能なのは、
1stアルバム「恋人もいないのに」のみ。だから貴重。
収録1曲目から代表作。シモンズは、デビュー作が代表曲となった幸福な事例のひとつ。
ただ、幻のデビュー曲が「あの素晴らしい愛をもういちど」。これが実現していたら・・と思う。
彼女たちのヴァージョンは残っていないのか。
彼女たちの4枚というオリジナルアルバムの数は、けっして多くはないけれど、
わずか3年という短い活動期間中に制作された11枚のシングルの密度と魅力がすごい。
このあたりにシモンズの人気と実力の大元があるのでしょう。
6曲目の「おくれて来た少女」は、ベスト盤に収められているヴァージョンとは違って、
もっと素朴な雰囲気になっている。
「おくれて来た少女」と同じ作詞・作曲者コンビによる「ひとりごと」は、
田中さんの澄んだハイトーン・ヴォーカルが堪能できるゆったりとした曲で、
ベスト盤に収録されてもおかしくない。
歌いだしは、♪ 雪の世界に住む人は 言葉が白く美しく ちょっぴり冷たい人だろうな ♪
少女の夢想は、最後に自分の恋人に向かっていく。
ラストの曲「言葉のいらない世界」は、ふたりがメロディーをユニゾンで歌い、
サビに入る。タイトルになっている歌詞は、シモンズならではのハーモニーでしめくくられる。
このあたりは「昭和の世界の素敵さ」が全開。
曲数は実質11曲と少なめですが、ベスト盤なみに充実しています。
音もリマスタリングされていて、雑音がなく、きれいで聴きやすいです。
このアルバム、手元にあった記憶はないけど、「ひとりごと」「言葉のいらない世界」など、
有名曲ではないけれど、聴くとすぐに曲を思い出すものがある。
かつて手元にあって聴いていたのか、テレビやラジオで聴いたのか、
彼女たちの「音楽」が、自分の中に強く、消えずに残っていたことに気づく。