『恋をしましょう』は1960年の暮れに公開されたモンローお得意のミュージカル・コメディです。
大ヒット間違いない企画であったのに、どうでしょう、モンロー出演作の中では忘れがちの作品ではないでしょうか。
この作品のマリリン・モンローは筆舌しがたいほどの美しさです。
共演のイブ・モンタンとの熱愛は、モンタン夫人シモーヌ・シニョレの自殺未遂を引き起こしてしまいました。
マリリン・モンローの魅力は、男性という性が自然に反応してしまうもので、これはどうしようもないでしょう。理性では抗しがたいと思っています。
しかし、それさえも通じない時代が近づいています。
ハリウッドが生んだ、この世の女神も時代に逆らえなかったのだという印象を持っています。
それは1960年代の始まりです。
ハリウッドの作り出す夢は醒め始め、映画も徐々に現実とアメリカ社会の負の面を描き出してゆきます。
ベトナム戦争、黒人差別問題、東西冷戦、ベルリンの壁。
映画が与える夢では人々は癒されなくなってきました。これは日本でも少し遅れて同じような道を辿ります。
後から判ることですが、モンローにも謎の死が近づいています。
マリリン・モンローは、偉大な社会、偉大なるアメリカを体現した人だと思うのです。
この作品を見ると、祭りの後の寂しさも少しばかり感じてしまいます。
モンローと共に、黄金の時代は過ぎ去ります。
それでも、私達はこうやっていつでも夢を見ることが可能です。
映画という文化が続く限り。