お互いに相手の大切にしているこだわり(男は石で作った漫画芸術、女はコスプレ&同人誌)をまったく理解しあっていない、というところから始まった恋が、順風満帆に進むかといえば、もちろんそんなわけがない。負い目、打算、思いやり、慰め、疑心暗鬼、しっと、焦燥、怒りなどあらゆる感情が、周囲の視線、嘲笑、経済状況などと一緒に次々と2人に襲いかかる。いたわりや愛情とともに、無意識下に潜む主導権を握りたいというエゴ、自己欺瞞(ぎまん)、迷い。ひょんなことからスイッチが入る痴話ゲンカの鬼気迫るすごさと、ぎこちなくも優しい歩み寄り。
そこには、どうにかしたいけど、どうしたらいいんだろう?と繰り返し悩む純情な2人の、おかしさやせつなさ、危なさが見事に浮き彫りとなっている。とてつもなく濃密に、生々しく。そして著者、羽生生の荒くドロドロだが常に切れ味のある稀有な画風が、数々の強烈なシーンのインパクトを倍増させる。
他人と恋愛し、同棲することによって、必然的に発生するすべてがこの物語に凝縮されている。当たり前のことを当たり前じゃないやり方で描ききった、迫真のラブストーリー。いびつだが、確かに輝く、愛のかたち。(横山雅啓)
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芸術に人生をかけた門と、コスプレや同人誌といったいわゆるオタクの世界に生きる恋乃。世間からかけ離れた二人の共通点は漫画である。し~~かし実際には共通点というに乏しく、ふたりそれぞれの世界は異質なものだ。相手の世界と自分の世界、そこで生じる衝突や理解は、恋愛によくある平凡な場面と言える。そんなふたりの世界を模索している間にも、(社会とも現実とも呼べる)お互いの世界の外側で、さまざまな出来事が起きる。ふたりはすべてを解決できないまま、葛藤し、苦悩し、その答えを探す~~ことになる。
恋乃と門という個人、その外側にあるオタクや芸術という文化、そしてまたその外側にある社会。自分の世界をいかに保ちながら、社会や現実を受け入れるのか。二つの石の間にスキマできてこそ、見える景色があるんだろう。すごく普遍的なテーマでありながら、その作風も伴って、気持ちよく描けていると思う。
とりあえず出品を取りやめて、~~自分の本棚に加えることにした。~
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