捜査が進められ、意外な真相が暴かれるという物語ですが、堕ちていく女の恍惚と狂気を描く。登場する3人の女の共通点は、心と体の乾きを感じているということ。
貞淑で清楚な人妻のいずみは、昼は大学助教授、夜はデリヘルで売春行為という二重生活を送る美津子に強烈に惹かれ、行動を共にする。「おまえはわたしのとこまで、キッチリ堕ちてこい!」と叫ぶ美津子。恐れおののきながらも自分を解放していくいずみ。そこに美津子と母親の異常な関係が浮かび上がり、さらに美津子の客としていずみの夫が現れてから、女たちの関係は激しくゆがんでいく。事件を捜査する和子もまた、幸せな家庭がありながら、愛人との関係を断ち切れずにいる屈折した女性というのも面白い。
園子温監督は、徹底した女目線にこだわっている。本作も、女たちの業が園監督らしい強烈な毒素の絵の具で、スクリーンにたたきつけられているかのよう。
そして、ミステリーとしても凄く面白い。被害者が誰なのか、延々判りません。結局、殺害した犯人が判明してやっと被害者が判るというストーリーだけでも、ラストまで惹きつけられます。
体当たりで役を演じる水野美紀、冨樫真、神楽坂恵の狂気すれすれの演技があまりにすさまじく、見終わればぐったりと疲労感が残りますが。(苦笑) あと、出番は短いですが、美津子の母(名門旧家の末裔)役の大方斐紗子が強烈にすごい。
魂が狂っていくこの物語に、一般的な共感は難しいですね。それでも、繰り返される田村隆一の詩は、3人の女たちの愛は、言葉などでは表せない地獄のような激闘だと言わんばかりで、孤独と哀しみを感じずにはいられません。