とにかく、何と言っても、ミシェル・ファイファー&ジェフ・ブリッジスの魅力に尽きる逸品だ。
特にファイファーは、そのキャリアの全盛を迎えた頃の作品だけに、絶品。「シュレック2」でもパロられていた、今作の映画の中盤、ホテルのニュー・イヤー・カウントダウン・パーティでの、“メイキン・フーピー”を、グランド・ピアノ上で、艶めかしく、官能的にしなやかに動くその肢体と、少し鼻にかかったような甘美でとろけるような歌声の彼女を観るだけで、このソフトを購入し、手元に置く価値があると断言したくなる素晴らしさだ。
オーディションでの、ちょっとすえっからしな“モア・ザン・ユー・ノウ”や、苦くて枯れたラストに流れる“マイ・ファニー・ヴァレンタイン”等、劇中のスタンダード曲を全て自ら歌っているのも良い。
「サンダー・ボルト」や「ラスト・ショー」以後、ハリウッドの第一線で30年以上のキャリアを誇るものの、日本での人気が今ひとつのJ・ブリッジスも、人生に醒めた皮肉屋ながら、純粋さと屈折さ、優しさと弱さとも持ち併せている今作での役柄は、その強烈な色気と男くささと共に、その魅力が最大限に生かされていると思う。
それだけに、後半、2人の恋の顛末より、兄弟の確執と和解にドラマの主軸が移るのが残念だが、デイブ・グルーシンの音楽も、随所に可笑しさと機微と苦さを入れ込んだスティーブ・クローブスの脚本も、大人を存分に酔わせてくれる出来栄えなので、文句は言えまい。
オーディションのシーンは中でも出色の面白さで、この映画後、この種のシーンにおいて、他の映画でもしばしば真似られている。テストした女性が揃いも揃ってオンチだったことに脱力感を覚えつつ、「シュールな体験だったな」と思わず漏らすボー・ブリッジスも良い味出しています。