早速、読ませていただきました。
第一章で、古美術の世界へ読者を誘い、その道しるべを示したいと言う、この本の主題が示されています。読んでいて、もっと早くにこの本に出合えていたら、と残念に思いました。いや、もっと早く冨永さんに出会えていたら、と言い換えてもいいかもしれません。まだ何度もお会いしてはいませんが、お会いしたときの誠実なお姿を拝見しているせいか、ここに書かれていることが、素直に受け入れられました。
そこから、第二章では小説の形で、展開していきます。私は読んでいて、緊張がほぐれつつ、さらに興味が深まっていくような、そんな感じがいたしました。とても、読者に優しい進め方だと思います。
第三章では、ご自分のご経験を披露されています。実際経験されたことを、聞かせていただけるのは、何より参考になりますし、参考にしながら、具体的に自分の目指す方向が見えてくるようで、とてもありがたいです。
後の二つの章では、各論に当たるところで、具体的な疑問に答えていただき、さらに、お店で実際に起こっている古美術品をめぐる、人々の関わり合いが披露されます。特に第五章では、人と人とのつながりの大切さや、つながりあえることの素晴らしさを感じ、感動を覚えました。
この本を読み終えて、ここに書かれていることは、古美術に関することだけではないように感じます。自分の信じるものを、自分の信じる価格で売る。それができるために、教えを請い、自ら学ぶ。信じる相手から、信じる価格でほしい品を買う。ほしい品を譲ってくれる相手を尊敬する。古美術に限らず、そんなことが今よりも増えていったら、不況も今ほど恐くはなくなるのではないかと思います。不況の本当の恐さは、物が売れないことではなくて、売る側と買う側の相互に敬意を払う関係が壊れてしまうことだと思います。桃青さんでの冨永さんとお客さんの関係は、お互いに敬意を感じます。従って、桃青さんは不況でも、恐さ知らずなのではないでしょうか。そんなこともこの本を通じて、広く社会に伝わるといいなあと思います。
是非、続編をお願いいたします。ヒロシやマサルのその後も気にかかります。また、古美術入門後の中級上級への道しるべも示していただきたいと思います。第五章を毎年、「桃青古美術研究」なんて形で、専門誌のように出していただいたり、学会のように研究発表会をしていただいたりすると、それも興味深く思います。地方に住むものとしては、なるべく手軽にたくさん学べる機会がほしいです。
まとまり無く、書いてしまいました。最後に、裏表紙の仏様と、本文中の男女神像にお会いしたいです。ご縁がありますよう祈っています。
素敵な本をありがとうございました。