「恋する王子」シリーズの第三巻です。
魔道により少年の体に変えられ下級兵士として兵役に就き、ドブさらいのようなことまでしていた凄い経歴の公爵令嬢・モニカ。彼女をそんな過酷な運命に追いやった元凶は、彼女をひたすら愛し追っかけまくる王太子・アレク。キャラクター造型がどれもユニークですが、ことにヒロインが魅力的です。
おおらかで温かく、自分を嫌う人にも冷静で公平な態度を保とうとする彼女は、兵士時代の後遺症が立ち居振る舞いや言葉づかいに残る様子も下品というよりほほえましく、あまたある少女小説のヒロインの中では、真っ当さや人としての賢さで異彩を放っています。
対するヒーローのアレクも同様。美形で強くて有能で誠実で、という美点を全部吹っ飛ばすほどの彼の欠点がモニカへの変態的な執着でしたが、今回の彼は異様に(?)まともです。
モニカとの結婚に反対する周囲、多忙を極める公務、そして肝心のモニカは、彼を好きではあろうけれども彼が彼女を想うほどとは思えない。そんな中、モニカが突然行方不明に!
アレクは自分の弱気と戦いながら彼女を探し出し、居合わせた人々に「これでもか」と彼女への壮絶な愛を証明してみせるのでした。
大爆笑の1巻、ハラハラの2巻も良かったですが、個人的にこの3巻が一番好きです。展開、語り口、脇役の活躍もそれぞれ実に加減を心得た達者さで、幸福な読後感が残りました。
この後があるとすれば、ヴァルダン姫姉妹のハッピーエンドが見たいところです。