それぞれの役の成長が、キャスト自身の成長と重なって、初めはみんな普通の高校生なのだが、映画のストーリーが進むに連れ、ちょっとずつ大人になっていくのが分かる。特に、加那子役の山入端佳美が、映画の中でどんどん魅力的になっていく。
文化祭出場のバンドを審査(審査員の音楽の先生がハゲ頭のオッサンなのにロックギターがメチャメチャ上手かったりする)する場面では、普通なら主人公たちの歌うシーンを描くところを、画面は彼らの演奏終了シーンから始まって、次の女の子グループの魅力的な演奏をたっぷり映し、それを見ている主人公たちの落胆ぶりを見せる。
空手大会の場面も加那子のみごとな演技のあと、どうなるかと思いきや、何もないまま次のシーンに行ってしまう。そうしたことの連続。このズレからの独特のリズムが面白い。その感じが登場人物の、いい意味での抜けた感じ、ゆったり感と連動している。
全編に渡り、歌の魅力で物語に惹き付けられるという面も大きかったように思う。
1980年代後半(前半も?)の歌謡曲、沖縄の民謡、等々、どれもいいし、ジャズシンガー与世山澄子さんの歌う「What a wonderful world」の本物の素晴らしさ。そして、BEGINの「恋しくて」は当然ですね。ラストはなんとBEGIN本人たちも登場してのライブ演奏!!
わかりやすいストーリーだが、その分少々物足りなさも感じないでもなかった。加那子とセイリョウの行方不明の父親との関係をもう少し浮き彫りにしてもよかったかも。
ともあれ、方言には字幕がつくし、ある意味ドキュメンタリー映画を観ているような面白さもある。「ナビィの恋」は傑作だったけれど、本作もなかなかの秀作でした。