現代人の「自由」は、巨大なシステムの現実を受け入れることで初めて得られる自由であり、それは一種の喪失を経て、初めて獲得されるものであるという指摘は鋭いものがあります。それを踏めて、市場経済、国民国家、近代的市民社会の3つが絡み合い、1つのシステムとして国家に国民を個々に(共同体を崩壊させて)統合するというシステム自体が限界を迎えているということが本書の大きな論です。問題意識は身近な体感を踏まえて、イデオロギーに偏ることなく論が展開されていますが、最後に解決のキーワードが「連帯」という言葉が少し唐突な気がして少し肩透かしの感じがしました。しかし、現代社会の病巣を考える上で大切な視座を提供してくれる本ではあります。