「ノイタミナ」枠のアニメ作品はどれも素晴らしいクオリティなので、元から期待度は高かった。それだけに、期待を裏切られる可能性が怖かったのだが。
「怪-ayakashi-」は「天守物語」から見始め、その繊細なタッチに満足してはいたのだが、この「化猫」が始まった瞬間に「天守物語」の余韻など吹っ飛んでしまうくらい強烈だった。
まず絵が美しい。極彩色で平面的な画面は、慣れるまでには違和感を感じるだろうが、慣れてしまえばこれ以上ないほどにしっくり来るのだから不思議だ。細かい箇所(貼りつけられた札が、化猫の接近に応じて模様を変えていく所など)まで手を抜かず描き込まれているし、脇役のキャラクターが背景に埋もれてしまうようなこともない。歌舞伎風の衣装や化粧(?)も、キャラクター(特に主人公の薬売り)の、淡々とした中に滲む色気を上手く引き出している。
キャスト各々の演技も上手く、特に櫻井孝宏が演じる薬売りが秀逸。甘いセリフも言わない淡々とした口調ながら、物語の中で際立つ確かな魅力がある。他のキャラクターも、櫻井に勝るとも劣らない演技を披露してくれている(特に、加世役のゆかななど)。
ストーリー・構成も、ただ化猫の恐ろしさとか、美形キャラが敵を倒すとかいった単純なものではなく、人間の業の深さとか化猫の情の強さなどがはっきりと示されていて素晴らしい。特に最終話の、化猫との決着からEDへ向かう流れが非常に良い。押しつけがましさを感じさせることなく、涙を誘う。
昨今のアニメでは、やたら美少女やら美青年キャラやらが出てきたりと、視聴者に媚びるような作品が多く、「『日本アニメは世界一』って言うけど、これじゃあ“ジャパニメーション”の名が泣くわ」と常々思っていたが、このような作品がもっと多ければ「アニメは日本の文化」と胸を張って言えるのに、と思う。
ぐだぐだ長く書いてしまったが、百聞は一見にしかず。とにかく見て頂きたい。この作品の素晴らしさを、身をもって知ることになるだろうから。