冒頭から矛盾したことを申しますが、本書はできるだけ事前情報を遮断してからお読みいただきたい。その方が、そこで語られる前代未聞な展開を大いに楽しめるに違いないから。「一冊の本にまとまるぐらいなのだから・・・」という先入観というか固定観念が打破される様はまことに痛快であり爽快でもあった。ごくまれに「本の雑誌」風な叫びが混ざる以外は、淡々と真摯な文体で綴られるのが高野氏の本の特徴だが、今回はとくにその内容と文体のギャップがツボにはまる。インドのある漁村で奇妙な魚が打ち上げられた。たまたまその場に居合わせた日本人の旅人は後日インターネットの未知動物関連サイトに目撃談話を書き込む。残念なことに彼は撮影道具を持ち合わせていなかった。・・・。その魚は本当にいるのか? いるならぜひ私が最初に捕獲して世界に「どうだ!」と問いたい。と、高野氏が思ったところから物語が始まる。