公開当時に劇場で観ました。その余りの芸術性に観客が付いて行けず、映画自体は一部では熱狂的に歓迎されましたが、大ヒットとはゆかず、製作のにんじんプロも倒産してこの作品のオリジナル版は忘れ去られました。長い間この作品はカンヌ出品版がクライテリオンから発売されておりまして、東宝からは相当遅れてLDが発売になりましたが、全てカンヌ版でした。オリジナル版との違いが最も顕著なのは第一話の「黒髪」でしょうが、どうも今回発掘された原版というのがどういう版なのか多少疑問があります。確かに可能な限りオリジナル版に近づいているのですが、どうしても修復出来ない場面をアウトテイクの流用で作ってあるみたいです。(同じ場面ですが、微妙に違うのです)。数年前、この映画に使用された中村正義画伯の壇ノ浦絵図の展覧会で上映された当時のプリントで40年ぶりに見直しておりますので、これは確かです。得点映像に当時のオリジナル画像の一部でも是非追加して欲しかったと思うのはこの名画を愛する人は皆さん思っておられると思いますが。
とはいえ、画像も音声も最大限修復されており、これ以上のバージョンは以降発売される事はないでしょう。オリジナルを知らない若い人たちに新しい良心的なスタンダードが提供された事を心からお慶び申し上げます。