中国の有名な怪談の翻案である。但し幽霊話は作品の主軸ではなく、全体の主題は仇討ち話であるから、怪談と思って読むと勝手が違う。カランコロンの怪談の方は物語の前の方で終わってしまい、しかも何が何であったのか、判然としない。それだけを楽しみに本書を読んだ人には、欲求不満が募るはずである。
それでも、円朝の語りそのままと思しいこの作品には言い難い魅力があって、語り口の巧妙さに本を置くことができなかった。勧善懲悪の古典であってとりたてて仕掛けがあるわけでもないのに、読者を引き込む力が凄い。名人の高座、如何ばかりであったか、本書からでも幾分かは窺い知れるように思われる。
斯くして、文章はリズムがよく、大変読みやすい。難しい知識も要らないから、臆せず手にとって一読されることを勧める。平文で読める、江戸文化の精華であると言ってよい。