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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
怪談・ホラー好きにはオススメです!,
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レビュー対象商品: 怪談文芸ハンドブック (幽BOOKS) (単行本(ソフトカバー))
本書は怪談を愛好したり、怪談の執筆を志すいわば『怪談初心者』のために書かれたハンドブックなのだが、そこそこ親しんで怪談通になってる人が読んでも楽しめる内容になっている。ぼくが感心したのは、第二部第三章「日本における怪談文芸の系譜」。ここでは章題にあるとおり、日本での怪談話のルーツを掘り起こし現代までの系譜を一気に紹介しているのだが、その飽くなき探求精神には心の底から驚いた。ぼくなど怪談話の起源で思い起こすのはやはり「古事記」なのだが、この人はそれに言及しながらもさらに突っ込んで、アイヌの叙事詩「ユーカラ」や琉球の「おもろさうし」などを引っ張り出してくるのである。それから語り起こされるジャパネスク・ホラーの連綿たる系譜の壮観なことよ!この章の記述は一級の資料として大変重宝すること間違いなし。そう言い切っちゃう。当然のごとく海外の作品についても二章分さかれていて、これはこれでツボを得たとてもわかりやすい解説で、翻訳物好きなら一応誰でも知っていることばかりなのだが、これも読んでいてたいへん楽しい。こういう怪談系ひとつとっても、ジャンル内に様々な派流が存在し、尚且つそれが細分化されているのでよく馴染んでいる者でさえその定義付けには難渋するのだが、そこらへんの区分の仕方がゆるやかではあるが一応なされていて、そういった部分はなるほどと膝を打ち、有名な作品の出典をつまびらかにしたところでは、あの作品にも種本があったのかと驚嘆し、まことに有意義な読書をさせてもらったわけなのである。いやあ、ほんと、楽しかったなぁ。
7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
怪談文芸を俯瞰するためには最適,
By ナラ - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 怪談文芸ハンドブック (幽BOOKS) (単行本(ソフトカバー))
帯文にも書いている通り、本書はあくまでも怪談文芸の入門書である(というか、ハンドブックという命名が入門書でなくてなんであろう)。だが、これ以上至れり尽くせりの入門書は他にない。怪談とは何ぞや。 この問に明確な答えを示せる人間は、そうそういない。現段階において、著者の東雅夫はその資格を有する稀な一人である。 文学的な知識は言うに及ばず、徹底した現地主義、正統派文学からサブカルチャーまでをフォローする目配り、そして何より怪談に向ける愛情。 どれ一つが欠けても画竜点睛を欠く事になるが、東は本書において、初心者向けハンドブックという制約の元で可能な最大限のパフォーマンスを見せている。 より理解を深める視点の持ち方指南、温故知新のための文学史、見る目を養うためのブックガイド。 よき教師がそうであるように、読み手のレベルによってそれぞれに得られるものがある仕組みになっている。もっとも、帯を文句を見て「一冊読めば長編怪談を書けるようになる本だ」などと読解してしまうような力の持ち主では、それすらも見逃してしまう可能性はあるわけだが、それを著者の責とするのは酷というものだ。 目利きによる最上級の食材と調味料、そして懇切丁寧なレシピが揃えられたキッチン。 それが本書である。 ここから何をえらび、どう料理するかは、貴方次第だ。
10 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
売り方が悪い,
レビュー対象商品: 怪談文芸ハンドブック (幽BOOKS) (単行本(ソフトカバー))
帯には「長編怪談の書き方」などと書いてあるが、ジャンルミックスにするといった当たり前のことが書いてあるだけ。これはほぼ完全に怪談文芸史。書き方の参考になるような売り文句を付けるべきではない。著者に罪はないが、売り方のせいで非常に後味の悪い思いをした。過去の作品の紹介本として読むなら十分参考にはなるだろうが。付け加えさせてもらえば「人が怪異に殺される話は怪談ではない」と言っておきながら、日本の長編怪談の例としてそのような作品を挙げているのは明らかな矛盾ではないだろうか? 「怪談の学校」を読んでも、怪談の第一人者たちの間で怪談の定義が揺れていることが明らか。これでは真摯な気持ちで長編怪談の執筆に挑もうとしている人たちを迷わすだけである。何しろ、その揺れている人達こそ怪談小説の文学賞の審査員たちなのだから。せめて東氏一人の中では揺れないでいてほしかった。 繰り返すが、80ページあまりの第一章を除けば文芸史として良書。怪談を読みこんでいる人たちにこそ、このような意見に単純に反論するのではなく、今後の日本の怪談文芸の行く末を憂える意見として耳を傾けてほしいと思う。
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