現在の読書好き、活字好きのきっかけは、南洋一郎訳のポプラ社全集を子供の頃に読んだ事に始まるが、新訳という言葉につられて本書を手にした。
確かにポプラ社の子供を対象にした文章とは異なるが、物語の面白さはまったく変わらない。
ミステリーというよりは冒険活劇といった方がよいアルセーヌ・ルパンの活躍は、大人だろうと、子供だろうと、関係なく楽しめる。
ここに収録された短編もかつて一度は読んだような記憶もあるのだが、あまりに昔ではっきりしない。
まったく新しい物語として読んだ感じがする。
読書中は心が踊るように物語の中に惹きこまれていた。
本書の出版は1907年と100年近くも前にもかかわらず、そのような感覚にさせられるのは、時代を超えた良質な物語である証であろう。
今回のハヤカワミステリ文庫への収録は、映画公開にあわせたものと思われるが、願わくば今後も新訳で全作品の出版も望みたい。
巻末に作品リストをつけたのはそこへの布石だと信じている。