「THE EYE」や「心霊写真」に代表されるタイのホラー映画は、ピンからキリまで種々雑多で、明らかにジャパニーズ・ホラーの影響を受けたと思われる作品もあれば、タイの宗教観を色濃く反映した独特の作品も多い。欧米のホラー映画に比べると、明らかに我々日本人の感性に近い恐怖を味わうことができるのだが、ときに違和感をぬぐい去れないままエンディングを迎えることも少なくない。
「リング」の貞子から始まったのかどうかは定かでないが、すっかりおなじみになった黒髪を引きずる女性の幽霊が登場し、全身の関節を無視して不気味に身体を動かしながら近づいてくる。この「怨霊」は日本人の我々が見ても、アジアン・ホラーの王道を行く作品といえる。その一方で、タイの風土というべきジメッとした空気感、パン兄弟作品で見慣れた切り替えの速いカメラワークなども健在。実話を元にしているらしいが、ストーリーも十分に練られていて、大雑把に展開を予想させながらも最後の最後まで種明かしをしていない。また、安易にハッピーエンドに終わらせていないところも気に入った点。単純な勧善懲悪も興ざめだが、救いのない結末も後味は悪いもの。その点、この作品は、単に怖いだけではない、何とも言えない余韻を残している。
キャスト、スタッフもタイ映画としてはなかなか豪華らしい。「THE EYE」や「心霊写真」を見て興味を引かれた人は、購入して損のない作品であると思う。