本書は、読売新聞大阪本部社会部の記者が取材した性暴力に関するレポートです。
まず、この本を読んでショックを受けるのは、性暴力によって苦しむ女性の姿です。男性(特に年配の人)は、「女性に対しては多少強引に迫るもの」とか、「とにかく、やってしまえば・・・」(下品な言葉ですみません)という認識があるかもしれませんが、そんな認識を改めさせる貴重なレポートです。
精神的に追い詰められ、自ら「生きる価値がない」と思いつめたり、どうしても男性不信から抜け出せなかったり、ちょっとしたきっかけで襲われたときの恐怖がよみがえり錯乱したり、というふうに、本当に心に深い傷を負うさまが、ていねいに記述されています。
性暴力がいかに重大な犯罪であるかを、改めて認識することができました。
また、外国の例として、アメリカ、韓国、カナダの例が取材されています。
有名なミーガン法が制定された経緯(アメリカ)や、出所後の性犯罪者をGPSで監視したり、前歴者の居住情報をインターネットで明らかにしたりする対策(韓国)が紹介され、監視による犯罪防止の対策が記述されています。一方、出所後、厳しく監視するのではなく、地域社会で受け入れて再犯を防ごうとする取組(カナダ)も紹介されています。住民の生活・気持ちと、出所者の生活・人権・気持ちの双方についてどう考えるべきか、考えさせられました。
また、被害にあった女性を、事件当初の段階から専門家のチームがサポートする体制がアメリカや韓国では整っている状況も記述されています。
そして、日本の裁判員裁判に参加した人の心の動き取材も取材しています。
本書は237ページの本でありながら、性暴力について多面的に取り上げており、認識を深められる貴重な本です。多くの人(特に男性)が読み、考え、少しでも性暴力をなくしていくべき、重要な本だと思います。