「ガロ」に連載され、青林堂からハードカバー版が出て30年。
ちくま文庫化され20年。いいものは残り、後世に伝えられる。
青林堂版「性悪猫」から、ちくま文庫「新編 性悪猫」再編にあたり新たに「長くつ はかない ねこ」「時間の兵隊」が加えられた。
さらに筑摩書房「やまだ紫作品集5 性悪猫/鈍たちとやま猫」で「出口」一篇が追加された。
この度の復刊・小学館版『性悪猫』は青林堂版のカラー口絵が復刻され、作品集5で時系列がおかしかった作品の並びが修正された。
さらにカラー・モノクロの「猫ギャラリー」が加わり、解説の中野晴行氏の文中には幻の同人誌「あっぷるこあ」(「COM」の編集者が主宰)に発表された、「性悪猫」の事実上の第一作「ときどき日溜まりで」の貴重な原型が見られる。
中野氏はじめこの作品と出逢ったたくさんの人たちが口を揃える。
出逢った時にはその時の、十年経てばまた別の、二十年、三十年経ってもまた新たな感動がある。
つまり「一生もの」の宝物のような本だ。
読者や時代に媚びることのない、やまだ紫という作家の原点とも言うべき真の名作。
「本」という形で手元に置き、人生の節目節目に開きたい。そして次代へ伝えたい。