最近は「性同一性障害」の本も増えたが、これはちょっと変わった本。
「社会学的な立場からトランスジェンダーに注目し、学究的な分析・考察に、取り組んでみたい」と「はじめに」において記述するだけあって、
病理現象としての性同一性障害ではなく、しかしトランスジェンダリズムとも一線を画している。
まさに、「性同一性障害の社会学」の看板に偽りなし。
前半は修士論文がベースになっているだけあって、引用などは社会学の論文に即した表記になっているが、
かといって小難しいというわけではなく、非常に読みやすい。
後半はレポートがベースなので、内容が細切れである感は否めない。
が、阪大の人間科学研究科は、社会学だけでなく教育学や福祉関連の授業も開講されているため、
それらに提出されたと思われるこれらのレポート群は、色々な論点があって興味深い。
少なくとも、既存の本にはあまり見られない視点である。
性同一性障害についての本だが、むしろジェンダー論の入門書として面白い一冊。