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思想はいかに可能か
 
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思想はいかに可能か [単行本]

柄谷 行人
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

著者20歳代の代表的作品を収録。三島由紀夫、吉本隆明、江藤淳を論じつつ、自らの批評の場所を見出そうとした、東大新聞五月祭賞佳作受賞作「思想はいかに可能か」(1966年)をはじめ、いずれも明晰なスタイル、思考の徹底性を備え、スタートから一貫する柄谷行人の魅力をあますところなく伝えるものです。批評空間版『初期論文集』を改題・新装、柄谷批評の終わりなき始まりを記す決定版です。浅田彰氏推薦。

内容(「MARC」データベースより)

明晰、徹底、剔抉、転倒、そしてペーソス。思考のラディカリズムを極める柄谷批評の終わりなき始まり。『東京大学新聞』等掲載。20歳代の代表的作品を収録した02年批評空間刊「柄谷行人初期論文集」を改題新装した決定版。

登録情報

  • 単行本: 220ページ
  • 出版社: インスクリプト (2005/04)
  • ISBN-10: 4900997102
  • ISBN-13: 978-4900997103
  • 発売日: 2005/04
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 669,224位 (本のベストセラーを見る)
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By 古本屋A トップ1000レビュアー
形式:単行本
若き柄谷行人の著作集で、1980年代になって濃厚になった、マルクス−デカルト−ヴィトゲンシュタイン−カント−キルケゴール−フロイト−ニーチェをぐるぐる廻るメリーコーランドみたいな硬直さはまったくない。落とし所も「他者」「外部」といった決まり文句ではなく、型にはまらない不安定さが、却って本当にできたての思想、という感じだ。まさに「直観力」と「思考力」で勝負みたいな、超弩級の力量がむき出し。読みながら、感心し続けた。「自然過程論」「現代批評の陥穽」が自分には特に面白く思えた。でも、当時から今にかけて、著者の思考は結構一貫しているところがあって、今になっても修正する気がないからこのまま出版したのだと思う。そういう意味では本当の文人だと思う。後年、頭の切れと、横紙破りというか、都合のいい解釈が読者層の鼻につき、だけど、言っていることは結局ただの左翼じゃないか、とアンダーエスティメートされがちだったが、本書を読むと、著者の力量はとてつもないもので、膨大な文献渉猟も何とも思わずさらりとやって、動物的な嗅覚で鷲掴みにしてくるような膂力は、ダントツの人であることを今になって知らされる思いだ。注意深さや行き届いた配慮も、印象とは裏腹で、とにかく、一流の上に一つ付く大物の若き相貌に圧倒されました。
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8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
思想家の誕生 2005/9/13
形式:単行本
4番目の論文『「アメリカの息子のノート」のノート』を一番興味深く読んだ。
ボールドウィン論として書かれているが、テーマは思想家に必須である「非情さ」をめぐっており、
これを獲得することが思想家の条件であろうが、面白いのは
いかにボールドウィンがそれを獲得していったか跡付けることが、
そのまま自らの検証にもなっている具合で、この思想家の誕生の現場に立ち会えた気がしたのだ。

この「非情さ」は、マルクスがユダヤ人問題を解明しようとした際に示した
ものがモデルとして参照されているが、自らが〈ユダヤ人でありながらその
ことを全く介意していないように見えるマルクスの「ユダヤ人問題」のとらえ
かた、共同性としての人間のとらえかた、人間の関係を個人的な恣意をこえた
関係としてとらえるそのしかたにうかがわれる一種の非情さ〉であって、
〈個別的な意志や実践の場に立つ場合と〉全く断絶しているのだ。

また2番目の論文『新しい哲学』も、文中にある次の要約から明らかな通り、
30年後に『トランスクリティーク』として結実する正確な見取り図を示して
いると思えて興味深かった。
〈かくしてマルクスは資本家と労働者の対立は人格的には偶然的恣意的であ
り、「疎外された労働」が対他的に現象した帰結にすぎぬという『草稿』の
根本的なテーマの一つを、『資本論』において論理的に構造化し、しかも先に
述べた『草稿』の論理的アポリアを「史的唯物論」によってではなく、
「価値形態論」によって克服することに成功したのであった。それにも拘ら
ず、『資本論』の成就したものは、『草稿』時代のマルクスの包括的な
理論体系の一面であったことは否定できない〉

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1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:単行本
 東大の学生懸賞論文や修士論文まで含んでいることからも分かるように、著者が批評家/思想家として本格的に活動する以前の極めて初期の論文集である。これらの文章を書いていた初期の情況については別書「柄谷行人 政治を語る」で詳しく回想されているが、60年に経済学部に入学した学部生時代から学生運動の中でマルクスを読んでいた彼は、文学を勉強しながらもずっと政治のことを考えていたという。

 で、実際のアウトプットはどうかというと、確かにサルトル的実存主義への前面批判が展開されているほか、マルクスへの言及が多い。が、例えばマルクスの場合、その価値形態論に「可能性の中心」を見出す以前であり、「経哲草稿」とヘーゲルを読み込みながら寧ろ批判的に言及している箇所が多い。また、その後「初期歌謡論」以外の吉本隆明をボロクソに評価する著者が、意外に本書所収の「自然過程論」では「共同幻想論」のフレームを使いながら論を展開しているのも微笑ましい。といった具合に、その後の思考の歩みとは多少の違いもあるが、その辺も若い著者がどのようにその後に思考を深化させていったのかという道筋が見えるようである。

 一方、「資本論がなかったら、誰が初期マルクスなんか読むか」とかつて著者は喝破したが、同じことが本書にも言えており、内容的には纏まりに欠ける文章も少なくなく、全体としては上記のようにその後の著作と比較したときに面白みが浮かび上がるような一冊だと思う。

 個人的に一番面白かったのは、「すべて思想の名に値する思想は自己の相対化されるぎりぎりの地点の検証から始まっている」(8p)という本書の表題となった論文である。学生懸賞論文という最初期の文章だが、マルクス主義一辺倒の時勢に関わらず既にその後の思想スタイルが出来上がっていることが、原石の輝きを感じさせる。

 なお、表紙写真は港千尋氏の撮影作品だが、本書の思索的なトーンとマッチした落ち着きがあって良い。
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