鋭利な若手の保守派・中川八洋『保守主義の哲学』(PHP研究所2004)と読み比べると面白い。評価すべき保守思想家の選定において両者はほとんど重なるが、唯一ニーチェのみが「日本を害する」(中川)とされ本書ではそれはポストモダン的相対主義の理解であり相対主義と闘った思想としてもっと深く理解されるべきであると論じられている。また、中川の書がエドワード・コーク卿という日本では一切知られていない英法学者を特に力を入れて論じているのに対し、本書で紹介される思想家たちは全て入手し易い邦訳が何冊かはあり故に既存の読解とは違う保守思想としての読みが披瀝されていることに注目すべきである。本書の姉妹編とも言うべき日本の思想家を扱った『思想史の相貌』(世界文化社)も必読である。その段で行くと、今後東洋編が書かれることも期待されるが、書かれるべきものはおそらくは未来の書き手に委ねられていると言った方がいいのかも知れない。