山下氏の『論理学史』は論理学入門書として画期的だったが、その中で参考文献として巻末に挙げられていたのがこの同著者による『思想の中の数学的構造』だった。
長らく入手困難だったのが文庫として入手可能になったことは喜ばしい。
論理学の初心者には『論理学史』を無条件に薦めるが、『プルードン研究』(1974、岩波書店)の執筆者の一人だった山下氏は、『〜の数学的構造』のなかでも比例的思考を批判した一人としてプルードンを挙げているのが興味深い。
シュンペーターの評価(『経済分析の歴史』3)の評価とは違って、充分近代的だと山下氏は述べている。
ライプニッツと華厳経が相似だと言う説は『東洋の合理思想』(講談社現代新書)等にもあった説だが、こちらの方が図が多くわかりやすいかもしれない
レヴィ=ストロースの構造主義などもこれほどコンパクトに数学的に説明した本は他にないだろう。
全体に抽象度が高いが、歴史的変遷をたどっているのでわかりやすい。
ゲーデル以前を扱うがその論理学自体の歴史性を問う姿勢は十分ゲーデル以降の研究態度だ。
副読本とは言えないくらい高度の充実度を持った本書ではあるが、『
論理学史』との併読をお勧めする。