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最も参考になったカスタマーレビュー
20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
大理論社会学のアンソロジー,
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レビュー対象商品: 思想としての社会学―産業主義から社会システム理論まで (単行本)
サン・シモンに始まり、ルーマンで終わる、社会学の大理論のアンソロジー。社会学で長く一番だった人が退職後に纏めた本。たいへんな秀才が滅茶苦茶に長年勉強した結果なので、この年季を凌駕することは滅多に出来ない。個人的には、スペンサーが詳しくなかなか興味深かったが、なにぶん、スペンサーについては、纏まった紹介が少ないので貴重だと思う。ウェーバーやジンメル、デュルケムなど第2世代の本当の意味での「社会学の巨匠」たちの説明も、多くの解説書があっても、本書の説明はとても丁寧でわかりやすく、妙な偏りが無く、網羅的なので、絶対に推したいと思う。ジンメルを形式社会学と片付ける安易さにもぴしっと釘を刺し、その真意を説明しているところは良いし、大著「社会学」のみならず、「貨幣の哲学」の解題も丁寧だ。改めて原典に向かいたくなる。パーソンズは、著者の「おはこ」なので、今更いうまでもない達意の名編だと思うが、シュッツについては、フッサールの現象学に対する理解が残念な結果に終わっているところが災いして、ウェーバーとの関係でしか光が当たっていない。著者が根っからの社会学者で、哲学が苦手なところが良く出ている。第一、シュッツの理解の前提として、フッサールの「厳密な学〜」と「危機」書に現象学を代表させて、説明すること自体、既に書物の選択を誤っていると思う。でも、パーソンズ=シュッツの往復書簡の要約などあって、わたしは、その原典を読んでいないので、なかなか面白かった。ルーマンについては、たいへんな労作だと思うが、やはり、現象学や意味論が苦手と見えて、ルーマンの「思想」が分かりにくい解説になっていると思う。「思想としての」という枕詞がある標題だが、むしろ「社会学大理論アンソロジー」とでもしておいたほうが良かったと思う。私は、「思想」というからには、「認識論」「意味論」「真理論」「実践論(道徳哲学)」のいずれかを経由していない社会理論は「思想」にはならない、と思う。ウェーバー、デュルケーム、ジンメルは、間違いなく、「思想としての」社会学たりえるが、コントは思想になりそこなったような気がする。でも、師匠のサン・シモンは「思想家」だと思った。本書の説明で、スペンサーが間違いなく「思想家」であり、それも極めて21世紀的な「思想」であるように思えた。パーソンズは、「認識論」「真理論」「実践論」いずれも故意に迂回しているので、思想になっていないように思える。ルーマンは、まちがいなく、「意味」の問題を考察したうえでのシステム論ゆえ、「思想」になっているように思えた。シュッツはどうみても哲学者、社会学基礎論の学者で、現象学的社会学とは、思想の兆しはあっても、社会学ではないと思う。分厚すぎるので、通読するより、気になるところを拾って読んでもよい、とても良い本だと思う。
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
古典と古典の連続性を見出すことこそ方法也!!,
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レビュー対象商品: 思想としての社会学―産業主義から社会システム理論まで (単行本)
またもや熟読・味読し再三読み返すべき大冊が登場しました。パーソンズの紹介の後、実証的な社会階層研究へ転じ、再び理論的な研究フィールドに回帰した 斯界の重鎮による社会学の俯瞰的総括(?)。著者は、これまでも中公新書のや、世界の名著のや、 『戦後日本の社会学』などを出版してきましたが、これが決定版かと。 お値段がお値段ですが、内容からすれば、読書による効用一単位当たりのお値段は安いです。 サン・シモン、コント、スペンサー、デュルケーム、ジンメル、ウェーバー、パーソンズ、シュッツ、ルーマン という9人のビックネームが扱われています。 近代性をこの学問の一貫したアイデンティティとした視座にも賛成、福澤諭吉から書き起こしている 点も刮目、マルクスがないことには意見が分かれるところかと思うけど、ここはありがちな論争を回避 する意味でも了とするところだし、ギデンズやブルデュー(さらにベックやマクドナルド)など直近の代表的 論者をハズしているのも、後述の理由(古典の連続性)からナイス選択なんじゃないかしら。 字数の関係で失礼な言い方になっている点はご寛恕願うとして、本書の基本方針と構成について 議論百出しそうな諸点について、私は、「それは非常にアリ」とする立場。 そしてルーマン。 ルーマン専門の研究者からすれば、「そういう書き方をしてしまうと、ルーマンがああした言い方で強調 したかった力点が、全然強調されないのに」とイライラしている向きもあろうかと。 しかし、このように、ルーマンを、ルーマン以外の社会学と関連づけようとした試みこそ、なされるべきで あったと考えれば、本書はたいへんに重要なんじゃないかと。長岡克行氏の大著もしっかり言及され ているし。 方法がない・とっちらかった学問だと言われがちな社会学。社会を計測する方法として、経済学やそ の背景の統計学や数学モデルなんかにコンプレックス中ではありますし(私は)、工学系の「技術」に 瞠目する日々でもありますが、そうであっても、風雪を経てきた古典の、その連続性を跡づけること により、数学や技術とは別種ではありながら、体系的な「観点」を築いていると言えるのではないか。 本書こそ、「思想」と銘打ち、一見するとまったくそうではないかのようでありながら、社会学の「教科書」 たるべき一冊。 その描く連続線に賛成するしないは別にして、連続線を描いてみせる先達の学恩に感じ入らないでは いられぬ一冊です。 私見では、シュッツにからんでバーガーへの言及が嬉しかった♪
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