無印良品の魅力を、消費社会論や現代思想をポップに使いながら語った本。無印良品の展開過程をおさえながら、理想的な生活の「虚焦点」としてのブランド・イメージ、作り手と消費者との「間主観性」を大事にしてきたその商品開発、個別アイテムのシンプルなデザインや突きつめれれた機能性が逆説的に生む詩的な「両義性」といった主な観点から、その成功の本質を論じ、あわせて日本人の消費行動の近過去・現在・近未来をうらなっていく。
パルコ勤務の著者が、セゾン文化財団にいたときに堤清二氏から与えられた課題にこたえた作品、とのことで、関係者的な語りが多い一方で、著者の読書経験や社会観察によりつちかわれた教養に基づき、適宜つきはなした議論がなされている。無印良品の経営戦略や商品の細部を論じるのではなく、「無印良品」がこの世界や時代に創造ないしはそこから掘り起こした、あるもの、あろうとしたものについて語っており、興味深く読めた。