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定年をひかえた男が、連れ添った妻の裏面を垣間見る。
いままで知らなかった一面。
いや、うすうす気づいてはいたが、あえてふれなかった一面。
たわわに実る蜜柑の女。
機転の利く、というほどにウソのつける女。
男の立場で読むと、もう、どうしようもなく救いがない。
ひたすら気分が悪くなる。
女の立場で読むと、やはりリアリティーがあるのかなあ?
信じていたことと、裏切り。
それを追究するほど強くない男。
けっきょくのところ、女は強いのか・・。
といった、とりとめのない感想を抱きつつ、
妻にも読んでみてー、とすすめてみた。
思い出し、文庫を購入。久々に読み返しました。
やはり面白い!解説に、短編とはかくあるべし。納得。引き締まって無駄の
ない逸品ぞろい。例えるなら、含み香やコクも豊かなのに、絶妙の余韻を
のこしつつ、すっとヒケるサバケのよさをもった吟醸酒のよう。
いい酒はやや光沢のある青白い輝きを放つというが、この短編集も仄かに
何かゾクっとするような光沢を感じさせる。あるアイテムをとおして、
幾重にも畳みこまれた時間や思いを表現するのが実にうまい。
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