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最も参考になったカスタマーレビュー
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
快楽を楽しもう,
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レビュー対象商品: 快楽の効用 嗜好品をめぐるあれこれ (ちくま新書) (文庫)
ミシェル・フーコーの名著『快楽の活用』(「性の歴史」II)ではないタバコ、甘いもの、デブをめぐる嗜好品についての文字通り「エッセイ」で、何かしら一方的に悪者にされている彼らへの「愛」に満ちた本である。筆者の雑賀さんは、大阪産業大学などの非常勤講師で、農学と社会思想が専門。『空腹について』(青土社)や『エコ・ロゴス』(人文書院)といった著書もある。 特に面白かったのは、「甘いもの」をめぐる考察だ。相対的に分量が多い。 戦前の雑誌「家の光」の農村部での役割や、いわゆるサトウキビによる砂糖でない甘味料の製法や、文学者らが表現した「甘さ」をめぐる考察など、うなずきながら読む。何かを断定したり、押し付けることはないソフトな文体で進む。 身体に悪いことの多くは、心地よい。過度に淫するのはともかく、医療費高騰だ、自己管理がなってない、といった経済的、道徳的な理由で悪者扱いされると、意地でも彼らを嗜みたくなる。 タバコの次は、お酒だろうし、いずれ甘いもの、脂っこいもの、辛いものなどもやり玉に上がる時代が来るだろう。 そう、更には、心地よいものも身体に悪くされそうだ。生が悪くいわれないのは、心地悪い世界だからか。性は心地よいと悪者にされそうだ。草食系は時代を先取りしているのだろうか。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
“科学する女流詩人”による最新作,
By あまでうす (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 快楽の効用 嗜好品をめぐるあれこれ (ちくま新書) (文庫)
小学時代の勉強机がみかん箱という貧乏な家に育った少年の最高の楽しみは、病気やけがをしたときにあてがわれる駅弁と砂糖だった。駅弁は何鹿郡の銘品であり、砂糖はグラニュー糖もしくは茶色い岩石のような形をした粗糖のかたまりで、その口腔に溶けいる絶妙な甘さが、三九度の高熱を忘れさせるのだった。薄い板ガムやひと匙の砂糖は、私のつらく平板な日常の一角を一瞬にして突き破る至高の嗜好品であったことは間違いない。本書はこのように魔術的かつ麻薬的な効用を持つ砂糖や煙草やチョコレートなどの嗜好品を次々に俎上に載せ、その来歴や成分や産業社会的な役割や、われらの人生のさなかにおいてそれらがどのような意味、あるいは「無意味の意味」を持つのか、について、ある時は口腔で軽やかに弄びながらクールに、またある時は美しい眉を少しひそめながらアカデミックに、またあるときは夢見るサッフォーのように物憂げに歌うのである。 文武両道ならぬ文理両方面に該博な知識と教養を有する著者は、例えば煙草ひとつをとりあげても、それが恰好の気散じであるのみならず、戦時の強制収容所などでは迫りくる死の恐怖を一時的に宙づりする迫真的な紛らわしであり、男のロマンの象徴であり、アメリカ先住民にとっては宗教的な儀式の重要な道具であり、医薬品でもあったことどもを、ハワードホークスの映画『コンドル』や大岡昇平の『野火』などを自在に引用してゆるゆると語る。 よく「神は細部に宿る」というが、とかく正則よりも変則、メインよりはサブ、「三度の食事」よりも「三時のおやつ」のほうが「三時のあなた」や「三児の貴方」の真相を浮き彫りすることが多い。そしてその何よりの証拠が、“科学する女流詩人”によるこの最新作なのである。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
この本が嗜好品そのもの,
By 秋葉 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 快楽の効用 嗜好品をめぐるあれこれ (ちくま新書) (文庫)
副題に書かれているようにこの本は嗜好品について書かれたものですが、この本そのものが嗜好品ではないでしょうか。筆者がまえがきで書いているように、食後のちょっとしたひとときに読むのがこの本に対する正しい接し方のようです。 酒や煙草、お茶やコーヒーやお菓子などのように、この本を読んだからといって金儲けや恋愛には役立たないかもしれません。 しかし筆者にいざなわれて思考を廻らす時、至福の時間が流れるのではないでしょうか。
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