古代史ファンの間では定評ある石渡古代史理論を、その弟子筋がわかりやすくまとめた一冊という感じでしょう。
ところどころ石渡作品は読んでいるので、その間を埋めたり思い出し出しさせてくれて有意義な本です。そして忘れていたことも含めて一驚させてくれる!
いわゆる天皇陛下のゆかり発言はじめ考古学、分子人類学(生物学)、比較言語学の成果以降、日本古代史における日韓連合王朝の存在や、大陸からの大量移動(南方や北方ツングースともに)は、もはや否定しようがない。
とくに言語学からのアプローチも充実してきており、こうした本のような説がいまでは受容されやすくなっている。
にもかかわらずいまだに、「朝鮮」という文字や概念が入ると、このレビュー群のようにアホ丸出しで神経質な反応をする日本人があとを絶たないのは、それだけ今の日本人たちが元気がなく、内向きになり、自信がなくなっているのをあらわしているのでしょうか? じゃあ日本人の「原郷」はほんとうに日本だけなのか?と問いたい感じ。
『日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 』でも読んでください。
現に、古墳の年代(測定されている造営の実年代)と、「記紀」の年代が二百年近くも違うものもあるのだから(たとえば「応神陵」)、そこに当時の歴史記述者の政治的作為があるのは当然のこと。
そして、天皇家が「外来」の王様やその血筋であっても、別段、日本人のアイデンティティーがゆらぐわけでもなんでもない。王朝は王朝で、いわば高貴な君子は高貴な君子のままなのです。
必要なのは、「真実」を求めようという態度だ。そのためにも宮内庁もいい加減に発掘作業を加速拡充させてくれと言いたくなる。
本書では、八幡神社が全国一多い(応神天皇が祭神)ところからも、応神=ホムタの重要性やその力を説く。そしてホムタと昆支(百済の王子)の音韻の似方は確かに読み手をスリリングな世界に導いてくれる。とくに武寧王の陵墓の件りから昆支=応神の活動年代を比定し確定していくあたりは、石渡理論の派のすごみそのものでしょう。
推理力が非常に強い古代史理論なので、ミステリーなど知的作業が嫌いではない人には特別にお勧めである。