現代の心理学はその研究領域も極めて広く、人間行動のあるとこ
ろすべて心理学の研究分野であるというほど、私たちの生活に密着した学問に
なっています。そこで日本応用心理学会では設立60周年を記念して、現代の心理
学が多くの分野に分化し、応用され発展してきた内容を、わかりやすく解説し、
身近な学問として正しく理解してもらうことを狙いとして、この『応用心理学事
典』を企画しました。
本事典は日本応用心理学会の役員によって各分野の重要な項目が選定され、
約240名にわたる会員の協力を得て執筆されたものです。細分化された現代心
理学の諸分野の研究水準が浮き彫りにされ、今後の研究活動に有効な情報を提供
しています。また、心理学に関心を持つ人びとが、心理学に対する偏った知識を
無くし、心理学により興味を抱かれ、社会においてさまざまな問題解決に役立て
いただきたいと願うものであります。
【刊行にあたって】
人は人の「こころ」について大きな関心を寄せています。むかしから「ここ
ろ」とはなにか、「精神」とはなんだろうという議論が盛んに行われていまし
た。心理学の歴史をたどると、人間が地球上に現われたときにまでさかのぼって
しまうほどです。
近年、若い人たちの間で、「心理学」が大変ブームになっています。マスコミ
でも心理学に関したテーマがよく取り上げられています。好奇心の強い若者たち
が「こころ」というテーマに深い関心を寄せていることがわかります。しかし、
巷にはこころを探索するゲーム感覚の本や占い的な、興味本位のものが多く氾濫
し、科学としての心理学に対する誤解を生じさせています。また、一般に心理学
というと、カウンセリングなど心理臨床関係の研究や実践と思われるなど、心理
学に対する関心に偏りもみられています。
現代の心理学はその研究領域も極めて広く、人間行動のあるところすべて心理
学の研究分野であるというほど、私たちの生活に密着した学問になっています。
そして、心理学の研究は社会の具体的な問題解決に大きな役割を担っているので
す。
わが国の応用心理学的研究活動は1920年頃からすでに芽生え始めておりました
が、心理学の学会は「日本心理学会」に限られていて、いわゆる実験・基礎の研
究が中心でした。このような中で、心理学の研究が社会の具体的な問題解決に資
することを目指して、広い専門領域の研究者を糾合して1936年に設立されたのが
「日本応用心理学会」でした。第二次世界大戦中(1941年~1945年)はその活
動を停滞していましたが、戦後1946年(昭和21年)に復興第1回大会が開催さ
れ、以来本格的な学会活動が展開されてきました。学会の復興当初は、その組織
の中に、教育心理部会・臨床心理部会・産業心理部会・犯罪心理部会・相談部会
など多岐にわたる部会を持っていましたが、やがて心理学が多くの分野に分化し
て発展するようになり、これらの部会はそれぞれ1つの学会として独立していき
ました。今日、心理学関連の学会はゆうに40を超え、心理学の研究は細分化の傾
向を強めつつあります。
このような状況にあっても、日本応用心理学会は、今もさまざまな領域の会員
を擁し、学会の志と長い伝統を大切に実績を挙げており、心理学界全体の発展に
とってその役割は極めて大きいものと思われます。
そこで、日本応用心理学会では設立(復興)60周年を記念して、現代の心理学
が多くの分野に分化し、応用され発展してきた内容を、わかりやすく解説し、身
近な学問として正しく理解してもらうことを狙いとして、この『応用心理学事
典』を企画いたしました。 ここでは、現代心理学の代表的な応用領域を15分
野で精選しました。心理学に興味を持ち、心理学の応用知識を得たい人や、ご自
分の専門分野以外で知りたいことのある人が学びやすいように工夫されていま
す。また、中項目主義をとっており、現代の応用心理全般を眺望できる読み物と
しても活用できます。
この事典は、日本応用心理学会の役員によって各分野の重要な項目が選定さ
れ、約
000名にわたる会員(一部非会員も含む)の協力を得て執筆されたもので
す。細分化された現代心理学の諸分野の研究水準が浮き彫りにされ、今後の研究
活動に有効な情報を提供することができたことでしょう。また、心理学に関心を
持つ人びとが、心理学に対する偏った知識を無くし、心理学により興味を抱か
れ、社会においてさまざまな問題解決に役立ていただきたいと願うものでありま
す。
2006年12月 岡村一成