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忘れられた日本人 (岩波文庫)
 
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忘れられた日本人 (岩波文庫) [文庫]

宮本 常一 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

日本全国をくまなく歩き,各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907-81)が,辺境の地で黙々と生きてきた古老たちの存在を生き生きと描き,歴史の舞台に浮かび上がらせた宮本民俗学の代表作.(解説=網野善彦) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907‐81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。

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5つ星のうち 5.0 恵那の河原で夜が明けた…, 2008/1/18
レビュー対象商品: 忘れられた日本人 (岩波文庫) (文庫)
民俗学者である宮本さんの作品には、じつは以前から関心があったのだけど、じっくり読んだのは今回が初めて。ぼくが生まれた1981年、宮本さんは亡くなっており、この作品ももとは未来社から1960年に刊行された、かなり古い書物。もう50年くらい前だもの。

この『忘れられた日本人』に、ぼくの故郷である恵那が登場して、またまたびっくりするとともに、嬉しくなった。しかもそれは、こんなくだり…

*************************
 
 後藤:ほんとうにかわりましたのう。夜ばいもこの頃はうわさもきかん。はァ、わしら若い時はええ娘があるときいたらどこまでもいきましたのう。美濃の恵那郡の方まで行きましたで・・・。さァ、三、四里はありましょう。夕はんをすまして山坂こえて行きますのじゃ、ほんとに御苦労なことで…。

 わしら若い時ゃ 恵那までかようた 恵那の河原で夜があけた

という歌がありますが、ほんとであります。女の家へしのびこうで、まごまごしていると途中で夜があけたもんです。(同書78頁)

*************************

恵那というのは、むかしから美しい娘がいるというので、近隣の村々で有名だったと話は続く。ふむふむ。

宮本さんは、日本中をじぶんの足で旅して、その土地土地で老人に話を聴いて回り、それをもとに日本の民俗・習俗、百姓の一般生活を描きあげた。この『忘れられた日本人』はその代表作で、古老たちの声がぼくらに届けられる。「土佐源氏」という章は、あまりの面白さに発表された当時はフィクションだとうわさされたほどらしい。ひとりのおとこの恋と人生の物語なのだけど、これほど面白い物語にはそうそう出会えない。

むかしの言葉で、ぼくがもう理解できないものも多くありました。もういちどじっくり読み直してみようかなと思います。お薦めです。
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55 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 特におすすめは「土佐源氏」, 2006/2/12
レビュー対象商品: 忘れられた日本人 (岩波文庫) (文庫)
名著。とはいえ今の時代、民俗学の勉強をしている人でなければ、著者の名前は知らないのではないでしょうか。民俗学の本を読むのが好きなわたしも、この著者については最近まで知らなかった。購入後も数年は背表紙を眺めているだけでかなり熟成させてしまった。が、ひとたびページを繰ってみると、その面白いこと!
創作ではないか、と疑いをかけられたことがあとがきに書かれているが、なるほどそう疑われるのも無理がないほど面白かったのは、やはり「土佐源氏」の章である。
橋の下でほとんど乞食のようにして暮らす80歳を過ぎた盲目の老人が語る彼の人生が、この章をなしている。アンチヒーローな彼の人生がそれは魅力的なのだ。ばくろう(牛の売り買いをする人)として、社会の底辺に生き、牛と女のことしかなかった人生を語るその語り口。町の名士の奥様(「おかたさま」)との色恋のくだりなどは、大変おすすめだ。おかたさまが亡くなったとき、3日3晩泣き暮らした彼は、それが原因で目がつぶれた、というのだ。「日本昔話」のおとな版、と言ってしまっては、通俗的過ぎるかしら。電車のなかで読んでいて、涙がこぼれて困ったくらいです。
テープレコーダーもなかなか手に入らなかった時代に、夜を徹して老人たちの話に耳を傾け、その語り口まで一心に書き留めた著者の情熱が素晴らしい。
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本のある風景, 2007/6/7
By のんちび (横浜市港北区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 忘れられた日本人 (岩波文庫) (文庫)
日本が、世界が今ほど狭くない頃、一生を一つの集落で終えるような時もあったわけです。
同じ場所にずっといる方がふつうの時代には、その狭い集落の中でのうまい付き合い方もあったということがよく分かるように書いてあります。嫁姑といった女同士の問題も上手に発散できるようになっていることが書かれており、人間社会での問題はいつの時代も同じだな、と思えます。代々受け継ぐ、というのも自然に行われていたり、年寄りの一言が重く、また年寄りも若い者も自分をわきまえており、暗黙の決まりの中で静かに暮らす姿が目に見えるようです。
目から鱗だったのは、文字を使うことでこれらの暮らしが記録されるようになったことで、今まではうちの中での代々の口伝えであったしきたりなどが、外にも出るようになったと言う所。文字を持つ伝承者(2)の田中誠一翁は農業に学問はいらないと途中で退学させられた、ということだったが、彼の人生を見ていると決して学が必要ないなどとはとは思えず、文字を使える思想を持った人の存在は、彼らの生きた時代の様々なことや昔から伝わることをそうとは意識することなく、記録という形で私たちに残してくれているわけです。
筆者の取材した内容もある土地のある時代の当り前の生活の記録ですが、大変興味深く読むことができ、なかには小説より小説らしいものもある。
そんな事が筆者の等身大で描かれている素敵な本です。
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